Chandler Limited TG2-500の使用レビューです。
実際に使ってみると、マイルドで暖かく、奥行きのあるヴィンテージ系の音が特徴的なマイクプリアンプでした。
さらにCOARSE GAINとFINE GAINの組み方で音の質感が変わり、低域の量感やノイズの出方にも違いが出ます。
アコギだけでなくボーカルにもかなりハマる音で、2026年現在もよく使っています。
今回はNeumann U87で3パターンのゲイン設定を録音し、API512CとWarm Audio WA73-EQとの比較音源も用意しました。
*2020年の記事をベースに、2026年の知見を加えて加筆修正しました。
目次
Chandler Limited TG2-500の音質レビュー|マイルドで暖かく奥深い
TG2-500を録音で使ってまず感じたのは、マイルドで暖かい音です。
それだけなら他にもありますが、TG2-500はそこに奥行きというか、音を取り巻く空気感があります。
ゲインを上げていくと低域の量感が増えて、ガシッと歯応えのある音にもなります。
この質感はかなり好きです。欲しかった方向の音でした。
TG2-500のCOARSE GAIN・FINE GAIN|同じゲインでも音が変わる
TG2-500で面白いのが、COARSE GAINとFINE GAINの組み合わせです。
COARSE GAINは5dBステップ。FINE GAINは-10〜+10dBの範囲で無段階に調整できます。
2つを合わせると最大60dBまでゲインを稼げます。
ここで重要なのが、同じ合計ゲインでも2つのつまみの組み方で音の質感が変わることです。
例えば同じ45dBでも、
FINE GAINを+10dB、COARSE GAINを+35dBにした45dBと、
FINE GAINを0dB、COARSE GAINを45dBにした45dBでは、音の質感が変わります。
実際にどれくらい違うのか、録音して比較しました。
Neumann U87でTG2-500の3つのゲイン設定を録音比較
アコギを使い、TG2-500のゲイン設定を3パターン変えて録音しました。
比較音源の録音条件
マイクはNeumann U87。
オーディオインターフェースはPrism Sound Titanを使っています。
アコギは2トラック録音し、左右にパンを振りました。
リズムはLogic Xの付属ループ音源です。
録音ファイルにプラグインは挿していません。EQ、コンプもなし。フェーダーだけで大まかに音量を合わせています。
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比較用としてAPI512Cと、Neve系のWarm Audio WA73-EQも並べました。
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TG2-500 COARSE GAIN +50dB / FINE GAIN -5dB
TG2-500 COARSE GAIN +45dB / FINE GAIN 0dB
TG2-500 COARSE GAIN +35dB / FINE GAIN +10dB
API512C
Warm Audio WA73-EQ
TG2-500は同じ45dBでもゲイン配分でノイズと音質が変わる
3パターンを聴き比べると、ゲインの組み方でかなり違いが出ました。
まずCOARSE GAINを+50dBまで上げ、FINE GAINを-5dBにした一つ目のファイルでは、サーっとノイズが乗っています。
一つ目のファイルのセッティング
逆にCOARSE GAINを+35dBまで下げ、FINE GAINを+10dBまで上げた3つ目のファイルでは、S/Nはそこまで気になりません。
3つ目のファイルのセッティング
僕が使った範囲では、基本的にFINE GAINはマックスまで上げた状態から音量を調整していくのが良さそうです。
COARSE GAINを大きくするとノイズも上がりやすいので、GAINとOUTPUTのバランスを見ながら美味しいところを探す機材なんだと思います。
音色も確かに変わります。
ゲインを上げていくほど低域の量感が増えて、ガシッと歯応えのある音になっていきます。
TG2-500・API 512C・WA73-EQの音質を比較
3台を並べて聴くと、それぞれかなり方向が違います。
TG2-500|マイルドで暖かく奥深い
TG2-500は、マイルドで暖かく、奥深い音。
まさにヴィンテージトーンという雰囲気があります。
低域の量感も出しやすく、3台の中でも音の空気感がかなり特徴的です。
API 512C|抜けが良くカラッとしている
API512Cはやはり抜けが良く、カラッとしています。
弦のキラッとしたところがよく浮かび上がってきます。
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Warm Audio WA73-EQ|太いのに抜けも良い
Warm Audio WA73-EQも改めてよくできているなと思いました。
かなり太いのに抜けも良い。
今回の3台では、一番バランスが良い音に感じました。
TG2-500はボーカル録音に向く
アコギでも良いですが、TG2-500はボーカル録音にもかなりハマります。
2026年現在もボーカル録音でかなり使っています。
TG2-500はDI入力なし
TG2-500で一つ残念なのが、DI入力がないことです。
この音ならベース録音でも使ってみたくなるので、DI入力がないのは個人的には少し残念です。
TG2-500の機能|COARSE GAIN・FINE GAIN・インピーダンス
操作部分は比較的シンプルです。
上部にCOARSE GAINとFINE GAIN。
COARSE GAINは5dBステップのロータリースイッチで、FINE GAINは-10〜+10dBを無段階で調整できます。
この2つの組み合わせが、TG2-500の音作りではかなり重要です。
インピーダンスは300Ωと1200Ωをスイッチで切り替えられます。
そのほかにMIC / LINE切り替え、OUTPUT調整、フェイズ、ファンタム電源があります。
機能自体は多くありませんが、GAINとOUTPUTの使い方で音を作っていくタイプです。
TG2-500の外観と500シリーズでの使い方
TG2-500はAPI500サイズなので、本体はかなり小さいです。
デザインも渋くてかっこいい。
背面のカートリッジ部分を500シリーズのランチボックスへ差し込んで使います。
APIのランチボックスへ挿すとこんな感じ。
500シリーズなので、他の500モジュールと一緒にまとめて使えるのも便利です。
Chandler Limited TGシリーズとは?
Chandler LimitedのTGシリーズは、英EMI / Abbey Road StudiosにあったTGコンソールをベースにした製品です。
TGコンソールは後期The BeatlesやRolling Stones、Pink Floyd作品でも使用されていました。
TGシリーズにはマイクプリだけでなく、いくつかの製品があります。
CHANDLER LIMITED TG12413 ZENER LIMITER サウンドハウス
コンプ / リミッターのTG12413 ZENER LIMITER。
CHANDLER LIMITED TG12411 Channel サウンドハウス
EQ付きのTG12411 Channel。
CHANDLER LIMITED TG2 BACK TO BASICS サウンドハウス
代理店がモディファイした日本限定のTG2もあります。
CHANDLER LIMITED TG2-500 サウンドハウス
僕が使っているのが、この500シリーズ版のTG2-500です。
TG2-500なら現行機でヴィンテージ系の音を狙える
TG2-500を使って改めて感じるのが、ヴィンテージ系の音には単純な「綺麗さ」や「抜けの良さ」だけでは測れない部分があることです。
ポチップ
古いヴィンテージ機材には独特の空気感がありますが、実際に所有するとメンテナンスや故障のリスクもあります。
僕個人としては、2026年現在からヴィンテージ機材へ新しく入っていくのは少し大変だなと思っています。
その点、Chandler Limitedは現行機として使いながら、この方向の音を狙える。
新品なのにヴィンテージ。
TG2-500を使う意味は、この部分にもあると思います。
ポチップ
ラックバージョンもあります。
ヴィンテージ機材のリスクや大変さについてはこちら👇
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Chandler Limited TG2-500が向いている人
TG2-500は、ただクリアに録るというより、録音する段階から少し音のキャラクターを作りたい時に使いやすいマイクプリです。
特に、マイルドさや暖かさ、奥行きのあるヴィンテージ系の質感が欲しい時にはかなりハマります。
APIのカラッとした感じやNeve系の太さとはまた違う軸なので、すでにそのあたりのマイクプリを持っている場合にもキャラクターを増やせます。
ヴィンテージ系の音は欲しいけど、古い実機のメンテナンスまで含めて付き合うのは大変という場合にも使いやすいと思います。
TG500とヴィンテージマイクプリを比較している記事はこちら👇
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まとめ|TG2-500は暖かく奥行きのある500シリーズマイクプリ
TG2-500は、マイルドで暖かく、奥行きのあるヴィンテージ系の音が魅力のマイクプリです。
COARSE GAINとFINE GAINの組み方で質感が変わるので、ただゲインを合わせるだけではなく、録る音に合わせて音作りできます。
特にボーカルではかなり気に入っていて、2026年現在もよく使っています。
Chandler Limitedの音は胸を熱くしてくれます。
個人的にかなりどストライクなマイクプリです。
最後までお読みいただきありがとうございました!