DTMを続けていると、徐々に気になってくるのがアウトボード。
プラグインで何でもできる時代なのに、なぜわざわざ高価なアナログ機材を使うのか?
僕自身も最初はずっとそう思っていました。
しかし実際にSSLやAPI、Telefunken、MANLEYなどのアウトボードを触るようになってから、音の聞こえ方やミックス判断がかなり変わった感覚があります。
この記事では、
- アウトボードとは何か
- 実機とプラグインは何が違うのか
- なぜアナログ機材を使いたくなるのか
- コンプやEQで何が変わるのか
を、実体験ベースで整理してみます。
目次
アウトボードとは?
アウトボードとは、ハードウェア版のコンプレッサーやEQ等のこと(マイクプリアンプも)。
ラックに入っているアナログ機材ですね。
真空管、トランス、VCA、オプト、パッシブEQなど、DAW以前から存在している録音機材たち。
現在はUADやWavesなどのモデリングプラグインが非常に進化していますが、それでも実機を使い続ける人が多いのには理由があります。
SSLやAPIなど、定番機材を実際に触ってみると、その理由が少しずつわかってきます。
SSL9000EQ実機レビューはこちら👇
DTM DRIVER!
SSL9000EQ実機レビュー|4000EとGのカーブを選べるアナログEQ | DTM DRIVER!
SSL9000EQの実機レビューです。4000EとGのEQカーブを切り替えられる操作感、SuperAnalogue回路の音質、アナログEQとしての使いやすさをまとめています。
API2500レビューはこちら👇
DTM DRIVER!
API2500レビュー|音源付きで試すパンチーなステレオバスコンプ | DTM DRIVER!
API2500の実機レビューです。VCAタイプのステレオバスコンプレッサーとしての音質、THRUST、KNEE、LINK、SHAPEなどの機能や音源比較をまとめています。
MANLEY Massive Passiveレビューはこちら👇
DTM DRIVER!
MANLEY Massive Passiveレビュー|豊潤で滑らかな真空管パッシブEQ | DTM DRIVER!
MANLEY Massive Passive Stereo Tube EQの実機レビューです。真空管パッシブEQとしての豊潤で滑らかな音質、通常版とマスタリング版の違い、内部構造や操作感をまとめてい…
プラグインだけでは分からなかったこと
僕が一番驚いたのは、実機を触るとEQやコンプの「どこを触ればいいか」が急にわかるようになったことです。
SSL EQなんか特にそうでした。
プラグインだけを触っていた頃は、正直良さがよくわかっていませんでした。
しかし実機を触った後にプラグインへ戻ると、「あ、こういうことか」と急に理解できる。
不思議なんですが、本当に耳の判断速度が変わります。
SSL実機とSSLプラグイン比較はこちら👇
DTM DRIVER!
SSL実機とSSLプラグイン比較|音声データで聴くアナログEQの違い | DTM DRIVER!
SSL9000実機とSSLプラグインの音質比較記事です。2MIXにSSL9000のEQとコンプを通した音、SSL 4000 Eプラグインで再現した音を音声データ付きで比較しています。
API5500実機とUAD比較はこちら👇
DTM DRIVER!
API5500実機とUAD APIプラグイン比較|音源で聴くAPI EQの違い | DTM DRIVER!
API5500実機とUAD API Vision Channel StripのEQを音源付きで比較した記事です。API 550B系EQの質感、実機とプラグインの違い、音の厚みや操作感を検証しています。
アナログコンプで変わるのは「音質」だけじゃない
アウトボードを使うと、単純に音が良くなるだけではありません。
変わるのは、
こういう部分。
例えばAPI2500系は、パリっとした輪郭感や密度感が増える方向。
逆にTelefunken U73bは、音が下方向へ沈み込むような安心感があります。
EQ的変化ではなく、「位置が変わる」感覚。
これがアナログ機材を面白く感じる大きな理由です。
Telefunken U73b実機テストはこちら👇
DTM DRIVER!
Telefunken U73b実機の音をテスト|ヴィンテージ真空管コンプはどう変わる? | DTM DRIVER!
Telefunken U73b実機の音をテスト。通すだけ、リミッター、コンプで音がどう変わるのかを音源付きで比較。ヴィンテージ真空管コンプの質感をレビューします。
API2500レビューはこちら👇
DTM DRIVER!
API2500レビュー|音源付きで試すパンチーなステレオバスコンプ | DTM DRIVER!
API2500の実機レビューです。VCAタイプのステレオバスコンプレッサーとしての音質、THRUST、KNEE、LINK、SHAPEなどの機能や音源比較をまとめています。
WARM AUDIO BUS-COMPレビューはこちら👇
DTM DRIVER!
WARM AUDIO BUS-COMPレビュー|音源付きで試すSSL系ステレオバスコンプ | DTM DRIVER!
WARM AUDIO BUS-COMPの実機レビューです。SSL系ステレオバスコンプとしてのグルー感、HPF、トランスON時の変化、音源比較や使用感をまとめています。
掛け録りで「音の位置」が決まる感覚
僕がアウトボードコンプを掛け録りで使う最大の理由は、音の位置調整です。
パンではなく、前後感。
コンプを通して録音すると、Voやアコギがグッと前へ出て、埋もれにくくなります。
しかもこれは、後からDAWでコンプを挿しても完全には再現しづらい。
録音段階で空間が決まってしまう感覚があります。
コンプレッサー掛け録り記事はこちら👇
DTM DRIVER!
コンプレッサーを掛け録りする理由|DTMで音の位置が変わる感覚 | DTM DRIVER!
コンプレッサーを掛け録りする最大の理由は「音の位置調整」。DTMでアナログコンプを使うと前後感や存在感がどう変わるのか、実体験ベースで解説します。
Fairchild 602レビューはこちら👇
DTM DRIVER!
Fairchild 602 Tube Compressor実機レビュー|通すだけでフェアチャ感が出る真空管コンプ | DTM DRIVER!
Fairchild 602 Tube Compressorの実機レビューです。670系と共通点を持つ希少な真空管コンプレッサーの音質や使用感、Fairchildらしいグルーブ感についてまとめています。
EQは「帯域調整」より“質感調整”が大きい
アナログEQを触ると、EQの印象もかなり変わります。
もちろん帯域は変わるんですが、それ以上に質感変化が大きい。
Massive Passiveなんか特にそうで、かなり大胆にEQしても「元からその音だった」ように聞こえる自然さがあります。
逆にAPI5500はパンチ感や輪郭感がかなり強い。
SiemensやNeumann系は、また別方向の滑らかさがあります。
Massive Passive音質テストはこちら👇
DTM DRIVER!
Manley Massive Passive EQ実機の音質テスト|EQするとどう変わる? | DTM DRIVER!
Manley Massive Passive EQの実機音質テストです。2ミックス音源に実際にEQをかけ、音の変化や質感を検証。通常版とマスタリング版の違いについてもまとめています。
API5500レビューはこちら👇
DTM DRIVER!
API 5500レビュー|音源付きで試すパンチーなステレオアナログEQ | DTM DRIVER!
API 5500の実機レビューです。API 550B系ステレオEQとしてのパンチ感、RANGE機能、2520オペアンプ、API2500との組み合わせや音源比較をまとめています。
Siemens W295bレビューはこちら👇
DTM DRIVER!
Siemens W295b EQレビュー|音源付きで試すSoundtoys Sie-Qの元ネタ実機 | DTM DRIVER!
Siemens W295b EQの実機レビューです。Soundtoys Sie-Qの元ネタになったヴィンテージEQの音質、枯れた質感、通すだけの変化や音源比較をまとめています。
Neumann W495bレビューはこちら👇
DTM DRIVER!
Neumann W495b EQレビュー|希少なノイマン製マスタリングEQ | DTM DRIVER!
Neumann W495b EQの実機レビューです。1970年代のマスタリングデスクに採用されていた希少なノイマン製EQの音質や使用感、Pinout情報をまとめています。
実機とプラグインはどれくらい違う?
最近のプラグインは本当にすごいです。
UADなんか特にかなり再現度が高い。
ぱっと聴きでは、ほとんど区別がつかない場面もあります。
ただ、何回も聴いたり、積み重なった状態になると、輪郭・密度・重心あたりに少しずつ差が出てくる。
勝敗というより、「方向の違い」ですね。
API2500実機 vs UAD比較はこちら👇
DTM DRIVER!
API2500実機とUADプラグイン比較|音源で聴くバスコンプの違い | DTM DRIVER!
API2500実機とUAD API2500プラグインを音源付きで比較した記事です。バスコンプとしての質感、音の輪郭、Mixつまみの使いやすさや実機との違いを検証しています。
API5500実機 vs UAD比較はこちら👇
DTM DRIVER!
API5500実機とUAD APIプラグイン比較|音源で聴くAPI EQの違い | DTM DRIVER!
API5500実機とUAD API Vision Channel StripのEQを音源付きで比較した記事です。API 550B系EQの質感、実機とプラグインの違い、音の厚みや操作感を検証しています。
最初にアウトボードを買うなら?
最初の1台としては、WARM AUDIO系はかなり入りやすいです。
WA76、WA-2A、BUS-COMPあたりは価格と音のバランスがかなり良い。
初めてアナログコンプを触るなら、とてもおすすめしやすい機材群です。
WARM AUDIO WA76レビューはこちら👇
DTM DRIVER!
WARM AUDIO WA76レビュー|ドライブ感が気持ち良い1176系コンプ | DTM DRIVER!
WARM AUDIO WA76の実機レビューです。1176系コンプレッサーとしての音の厚み、ドライブ感、UAD 1176との違い、Cinemagトランスや使用感をまとめています。
WARM AUDIO WA-2Aレビューはこちら👇
DTM DRIVER!
WARM AUDIO WA-2Aレビュー|音源付きで試す滑らかなLA-2A系オプトコンプ | DTM DRIVER!
WARM AUDIO WA-2Aの実機レビューです。LA-2A系オプトコンプとしての滑らかなかかり方、PRE-EMPHASISの使い勝手、UAD LA-2AやADL1000との違いを音源付きでまとめています。
WARM AUDIO BUS-COMPレビューはこちら👇
DTM DRIVER!
WARM AUDIO BUS-COMPレビュー|音源付きで試すSSL系ステレオバスコンプ | DTM DRIVER!
WARM AUDIO BUS-COMPの実機レビューです。SSL系ステレオバスコンプとしてのグルー感、HPF、トランスON時の変化、音源比較や使用感をまとめています。
アウトボード最大の価値は「耳が変わること」
結局、アウトボード最大の価値は「音が良くなること」だけじゃないと思っています。
それ以上に大きいのは、“判断が変わること”。
何をしたいのか。
どこを触ればいいのか。
どこが気持ち悪いのか。
その判断速度がかなり変わる。
だから最終的には、DAWだけの作業にも戻ってきます。
アウトボードは音質向上装置というより、判断補助装置に近い。
まとめ
アウトボードを使う意味は、単純な「高音質化」だけではありません。
位置、重心、奥行き、密度。
そういう感覚が少しずつ身体に入ってくること。
その結果、プラグイン作業やミックス判断まで変わってくる。
もちろん高価ですし、完全に趣味の世界でもあります。
ただ、実際に触ってみると「なぜみんな欲しがるのか」が必ずわかるのではないかと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました!