SENNHEISER MD421のヴィンテージ版、通称「白クジラ」のレビューです。
僕はこれまで白クジラを3本所有してきました。
すべて筆記体ロゴのタイプです。
そして面白いことに、3本とも見事に音が違いました。
目立つ帯域や量感がそれぞれ違います。
それでも大きな方向としては、柔らかめで芯があり、中域に独特の味があります。
現行のMD421-IIと比べると、僕には白クジラの方が柔らかく、現行品はより明るくハッキリした音に聞こえます。
ただし、普通にMD421が欲しいなら僕は現行品をおすすめします。
白クジラはコストパフォーマンスや安心感で選ぶマイクではなく、この古い個体にしかない質感を求める時に選ぶと幸せになります。
目次
MD421白クジラを3本使った現在の評価
SENNHEISER MD421は1960年に登場した、非常に歴史の長いダイナミックマイクです。
レコーディングスタジオでも長く使われてきた定番で、その形から日本では「クジラマイク」と呼ばれることもあります。
タムなどのドラム、ギターアンプ、ボーカルなど、かなり幅広い用途で使えるマイクです。
ENNHEISER ( ゼンハイザー ) / MD 421-II サウンドハウス
現在新品で入手できるフルサイズのモデルが、黒いボディのMD421-IIです。
白クジラは、それよりずっと古い世代のMD421。
僕が使ってきた印象では、現行品とは音の質感もかなり違います。
さらに、僕が所有した3本の白クジラも、それぞれ音がかなり違いました。
白クジラを3本所有して分かった最大の違いは個体差
僕はこれまで計3本の白クジラを所有してきました。
全部、筆記体ロゴのタイプです。
3本とも見事に音の質感がバラバラでした。
厳密には、質感そのものより「量感」が違うという方が近いです。
目立つ帯域がそれぞれ違います。
ぶっちゃけ、どれが本来の白クジラの音なのかも分かりません(笑)
ただ、大枠で見ると3本とも向かっている音の方向は同じでした。
白クジラは白クジラです。
量感は違っても、柔らかい中域や芯のある感じは共通しています。
この辺りがヴィンテージマイクの面白さでもあり、難しさでもあります。
白クジラの音質|柔らかい中域と芯がある
3本とも量感にはかなり違いがありました。
それでも白クジラに共通して感じたのは、柔らかめで芯があり、中域に独特の味がある音です。
この中域がとても気持ちいい。
ヴィンテージだから単純に丸い、暗いという感じでもありません。
柔らかさがありながら、ちゃんと音の芯が残ります。
少し距離を取った方が気持ちよく録れる
白クジラは近づきすぎると低域が増えて、音がぼやけます。
そこで少しずつ距離を離していきます。
ちょうどいい位置を探ると、柔らかさと芯が両立した気持ちいい音になります。
僕は白クジラを使う時、近距離に固定せずマイクとの距離を動かして位置を探っています。
現行MD421-IIはより明るくハッキリ聞こえる
現行のMD421-IIは、僕には白クジラより明るく、ハッキリした音に聞こえます。
白クジラには柔らかさと中域の独特な質感があり、現行品にはもっとフレッシュな感じがあります。
どちらが上という話ではありません。
同じMD421でも、僕はかなり違う方向の音として使っています。
白クジラと現行MD421-IIの違い
実際に使ってきた印象と購入条件まで含めると、白クジラと現行MD421-IIにはかなり違いがあります。
| 白クジラ | 現行MD421-II |
| 音の印象 | 柔らかく中域に独特の味 | 明るくハッキリ |
| 個体差 | 僕が使った3本はかなり違った | 新品を選べる |
| 入手方法 | 中古中心 | 新品で入手可能 |
| 接続 | 古い個体は端子仕様に注意 | 3-pin XLR |
| 状態 | 個体ごとの状態確認が必要 | 新品なら状態を把握しやすい |
普通にMD421を使いたいなら、僕は現行品を選びます。
新品で買えて、状態も分かりやすい。
コストパフォーマンスまで考えれば、現行品の方がずっと買いやすいです。
それでも白クジラには、現行では出しにくい独特の質感があります。
そこを求めるなら、ヴィンテージを探す意味があります。
ポチップ
白クジラを買う時は接続端子に注意
白クジラを購入する時に必ず確認したいのが、マイクの出力端子です。
初期のMD421には、現在の3-pin XLRではなくTuchelやDIN系の端子を採用した個体があります。
僕が使ってきた白クジラは、全てビッグタッチェルと呼ばれるタイプの端子を使う個体でした。
そのまま普通のXLRケーブルを挿すことはできません。
使用するには端子に合った変換ケーブルが必要です。
古いMD421を購入するなら、マイク本体だけでなく端子の種類と変換ケーブルの有無も確認してください。
-マイクホルダーも変わった形です。できたらご一緒に-
マイクホルダーも独特な形です。
できればこちらも一緒に確保しておきたいところ。
せっかく古いマイクを手に入れたのに、そのまま使えないのは悲しいです、、、。
MD421「クジラ」の世代と白クジラの位置づけ
MD421は1960年の登場から非常に長く作られてきたため、年代や市場によって型番、外装、端子などに多くのバリエーションがあります。
中古市場では、外観からこんな呼び方をされることがあります。
- 白いボディの筆記体ロゴ
- 白いボディのゴシック系ロゴ
- グレー系の筐体
- ゴールドを使った外装
- 黒い筐体
これはSENNHEISER公式の5世代分類ではなく、古いMD421を見分ける時に使われている外観上の呼び分けです。
MD421には型番や端子仕様まで含めて複数のバリエーションがあるので、ヴィンテージを探す時は外装色だけでなく型番や端子まで見た方がいいです。
白クジラには筆記体とゴシック体がある
白クジラでは、筆記体ロゴとゴシック系のロゴを見かけます。
ロゴはマイクグリルの上部に刻印されています。
僕が所有した3本はすべて筆記体です。
ゴシック体は所有していないので、実機で直接比較したことはありません。
僕自身が確認できたのは、同じ筆記体の3本でも音はかなり違ったということです。
トーレ・ヨハンソンとMD421
僕が古いMD421に惹かれた理由の一つが、カーディガンズのプロデューサーとして知られるトーレ・ヨハンソンの存在です。
トーレ・ヨハンソンがボーカル録音でMD421を使っていたことを知り、このマイクへさらに興味を持ちました。
この映像では白いMD421も登場します。
う〜ん、たまらなくかっこいい。
現在、こうした古い白いMD421を探すなら中古市場です。
eBayやReverbなどを見ていると出てくることがあります。
白クジラはアルニコマグネットを採用
白クジラにはアルニコマグネットが使われています。
アルニコマグネットは、アルミニウム・ニッケル・コバルトを主成分とする合金磁石です。
古くからスピーカーやマイクなどに使われ、温度変化に強く、磁力が長期的に安定しやすい特徴があります。
現行のMD421-IIではアルニコマグネットは使われておらず、ここも旧MD421との仕様上の違いです。
こうした内部仕様の違いも、白クジラと現行MD421-IIで音の方向が違う理由を考える上では興味深いポイントです。
さらに古いSENNHEISER MD21も使った
白クジラを使っているうちに、「さらに古いSENNHEISERのダイナミックマイクはどんな音なんだろう?」と気になりました。
そこで出会ったのがSENNHEISER MD21です。
MD21は1953年に登場した、MD421より古いSENNHEISERのダイナミックマイクです。
MD21は無指向性、MD421はカーディオイドで、マイクとしての性格はかなり違います。
こちらも白クジラとはまた違う面白さがあります。
まとめ|普通に買うなら現行、白クジラは個体そのものを選ぶ
白クジラを3本所有してきましたが、3本とも音はかなり違いました。
それでも共通して、柔らかさと芯、中域の独特な味があります。
この質感は僕もかなり好きです。
ただ、普通にMD421が欲しいなら現行のMD421-IIを選ぶ方がいいと思います。
新品で買えて、状態も分かりやすい。
故障や劣悪な個体へ当たるリスクまで考えれば、コストパフォーマンスも現行品の方がずっと良いです。
白クジラを選ぶ理由は、単純に「古い方が音が良い」からではありません。
現行品とは違う、あの柔らかい質感が欲しい時です。
しかも3本使って全部違ったので、白クジラは「MD421白クジラ」というモデルを買うというより、その個体そのものを買う感覚に近いです。
そこまで含めて楽しめるなら、ヴィンテージへトライする価値はあります。
ポチップ
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