ラインケーブルが必要になったので自作しました。
ケーブルDIYの魅力は、好きな線材と必要なコネクターを自由に組み合わせられること。
長さも必要な分だけ自由に決められます。
今回はBELDEN 88760を使い、片側TRSフォン、片側XLRメスのバランス・ラインケーブルを作ります。
TRSとXLRの配線から、ケーブル処理、はんだ付け、組み立てまで実際の写真で順番に解説します。
目次
TRS-XLRラインケーブル自作に必要な工具と材料
まずは今回使った工具と材料です。
- BELDEN 88760
- TRSフォンプラグ
- XLRコネクター
- はんだごて
- はんだ
- ニッパー
- ラジオペンチ
- 作業クリップ
- テスター
BELDEN 88760
線材はBELDEN 88760を使いました。
88760は赤・黒の2芯とBeldfoilシールド、ドレインワイヤーを持つケーブルです。
ポチップ
今回の配線ではドレインワイヤーをTRSのSLEEVEとXLRのPin 1へ接続します。
88760はラインレベルのオーディオ用途にも使える線材で、実際に加工するとかなり硬さを感じます。
BELDEN 88760について詳しくはこちら👇
DTM DRIVER!
BELDEN 88760レビュー|音質の特徴・デメリットと向く用途 | DTM DRIVER!
BELDEN 88760を長年使ってきた実体験からレビュー。フラットでクリアな音質、質感を均さない透明感、DTMモニターやアウトボードでの使い方、最大のデメリットである硬さ、…
TRSフォンプラグ
今回はCLASSIC PROのTRSフォンプラグを使いました。
TRSはTIP・RING・SLEEVEの3つの接点を持つプラグです。
同じTRSプラグはステレオ接続にも使われますが、今回は左右のステレオ信号を送るためではなく、HOT・COLD・シールドを使ったバランス接続用として使います。
TRS・TSフォンプラグの構造はこちら👇
DTM DRIVER!
フォンプラグの構造と配線ルールを解説|TS・TRS・バランス・アンバランスの違い | DTM DRIVER!
フォンプラグの構造と配線ルールを整理しました。TSとTRSの違い、ステレオとモノラル、バランスとアンバランス、XLRとの対応関係まで、ケーブル自作やDTM接続で迷いやすい…
CLASSIC PROのフォンプラグについてはこちら👇
DTM DRIVER!
CLASSIC PROのフォンプラグは使える?P12・P12Sを100本近く使ったレビュー | DTM DRIVER!
CLASSIC PROのフォンプラグP12・P12Sを100本近く使ってきた経験から、実用上の品質や音、Neutrik・Switchcraftとの違い、大量自作や固定配線での使い分けを解説します。
XLRコネクター
XLR側はNEUTRIKのメスコネクターを使いました。
接続先にXLRオスが必要なら、オスコネクターへ変更して同じPin番号へ配線できます。
ただし、オスとメスでは端子の位置が反転して見えるため、見た目の位置ではなくコネクターに刻印されたPin番号を確認して配線します。
僕は経験上、XLRにはNEUTRIKを使うことが多いです。
抜き差しが滑らかで、コネクターとしての精度が高いと感じています。
一方でフォン側はCLASSIC PROでも十分実用的だと感じているので、今回はこの組み合わせにしました。
はんだごて・はんだ
はんだ付けには、はんだごてを使います。
はんだは長年KESTER44を使っています。
ポチップ
ポチップ
ニッパー・ラジオペンチ
ニッパーはケーブルの外皮や芯線の被覆を剥くために使います。
ラジオペンチは、今回使ったCLASSIC PROのフォンプラグでケーブルクランプをかしめる時に使います。
ポチップ
ポチップ
作業クリップ
必須ではありませんが、コネクターを固定できる作業クリップがあるとはんだ付けがかなり楽です。
ポチップ
テスター
完成後の導通確認にはテスターを使います。
配線が合っているかだけでなく、端子同士がショートしていないかも確認できます。
ポチップ
TRSとXLRの配線
制作前にTRSとXLRの対応を確認します。
TRSは先端からTIP・RING・SLEEVEです。
- TIP → HOT → XLR Pin 2
- RING → COLD → XLR Pin 3
- SLEEVE → シールド → XLR Pin 1
XLRコネクターのPin番号
今回使うBELDEN 88760では、僕はいつも赤をHOT、黒をCOLDと決めています。
そのため実際の配線は次の通りです。
- 赤 → TRS TIP → XLR Pin 2
- 黒 → TRS RING → XLR Pin 3
- ドレインワイヤー → TRS SLEEVE → XLR Pin 1
芯線の色をどちらへ割り当てるか自体は任意ですが、TRS側とXLR側で対応を揃えることが重要です。
僕は制作時に迷わないよう、赤=HOT、黒=COLDで統一しています。
バランス/アンバランス接続についてはこちら👇
DTM DRIVER!
バランスケーブルとアンバランスケーブルの違い|仕組み・ノイズ・使い分けを解説 | DTM DRIVER!
バランスケーブルとアンバランスケーブルの違いを解説。HOT・COLDを使ってノイズを減らす仕組み、XLR・TRS・TS・RCAとの関係、なぜアンバランス接続も使われるのか、DTMで…
TRS-XLRラインケーブルの作り方
ここから実際にケーブルを作ります。
今回はBELDEN 88760を4m用意して、1mのケーブルを4本作りました。
TRSプラグを分解して外皮を剥く長さを決める
まずはTRSフォンプラグを分解します。
ケーブルをプラグへ実際に当てて、外皮を剥く長さを決めます。
この方法が一番分かりやすいです。
今回のプラグは根元の金属クランプを最後にラジオペンチでかしめてケーブルを固定します。
そのため、外皮はクランプで固定する部分より先まで剥きすぎないようにします。
BELDEN 88760の外皮と芯線を剥く
BELDEN 88760はケーブル自体がかなり硬いです。
一方で外皮や内部の被覆は薄いので、ニッパーを深く入れすぎないように作業します。
芯線まで傷つけたり、必要のない部分まで導体を露出させたりするとショートの原因になります。
僕はここで失敗した場合、無理にそのまま使わず、傷ついた部分ごと切って最初から剥き直します。
赤と黒の芯線も、はんだ付けに必要な分だけ先端の被覆を剥きます。
TRSのTIP・RING・SLEEVEにはんだ付けする
先ほど決めた通り、今回は次の配線です。
- 赤 → TIP
- 黒 → RING
- ドレインワイヤー → SLEEVE
この3本をそれぞれの端子へ配置します。
88760は硬いので、この位置合わせが結構手間です。
焦らず、線同士や隣の端子へ触れていないことを確認してからはんだ付けします。
位置が決まったらはんだ付けします。
ケーブルをかしめてTRSプラグを組み立てる
はんだ付けが終わったら、根元のケーブルクランプをラジオペンチでしっかりかしめます。
ここでケーブルを固定しておけば、引っ張られた時に直接はんだ付け部分へ力がかかりにくくなります。
その後、プラスチックのカバーを入れます。
最後に金属カバーを装着すればTRS側は完成です。
線材が細いとコネクターとの間に隙間ができます。
気になる場合は熱収縮チューブなどを使って調整できます。
ポチップ
XLRのカバーを先にケーブルへ通す
TRS側が終わったらXLR側を作ります。
ここで忘れやすいポイントがあります。
先にカバーを通しておきます
はんだ付けする前に、XLRのカバーをケーブルへ通しておきます。
これを忘れてXLRをはんだ付けすると、あとからカバーを通せません。
ここは結構ミスしやすいので、先に必要な部品を通してから配線します。
カバーを通した状態で、XLR側も必要な長さだけ外皮と芯線の被覆を剥きます。
XLR Pin 1・2・3にはんだ付けする
XLR側はコネクターに表示されているPin番号を確認して配線します。
TRS側で決めた配線に合わせます。
- 赤 → XLR Pin 2
- 黒 → XLR Pin 3
- ドレインワイヤー → XLR Pin 1
端子同士が接触しないように位置を整えてからはんだ付けします。
これではんだ付け完了です。
XLRコネクターを組み立てる
はんだ付けが終わったら、先に通しておいたカバーとコネクター部品を組み立てます。
XLRシェルをシールド側へ接続するとノイズが変わる場合がある
ここは僕が実際のケーブル制作で経験しているポイントです。
今回使ったXLRコネクターには、Pin 1とは別に金属シェル側へつながる端子があります。
このシェル側の端子をPin 1/シールド側へ接続すると、XLRコネクターの金属シェルもシールド側と導通します。
僕の環境では、変なノイズが乗った時に、このシェルをシールド側へつないだり、逆に外したりすることでノイズが改善したことがあります。
常に接続した方がいい、常に外した方がいいという話ではなく、接続するかどうかでノイズの出方が変わる場合があります。
原因の分からないノイズが出た時に、ケーブル側で確認できるポイントのひとつです。
テスターで導通とショートを確認する
組み立てが終わったら、機材へ接続する前にテスターで配線を確認します。
- TRS TIP ↔ XLR Pin 2が導通している
- TRS RING ↔ XLR Pin 3が導通している
- TRS SLEEVE ↔ XLR Pin 1が導通している
さらに、TIP・RING・SLEEVEの各端子同士がショートしていないことも確認します。
配線間違いやはんだのブリッジをこの段階で見つけられるので、ケーブル自作ではテスターを使った方が安心です。
TRS-XLRラインケーブル完成
これでBELDEN 88760を使ったTRS-XLRラインケーブルの完成です。
今回は1mを4本作りました。
自作なら、使う機材やラックの距離に合わせて必要な長さで作れるのが便利です。
工具をすでに持っていて何本もケーブルが必要なら、自作するメリットも大きくなります。
ポチップ
まとめ|TRSとXLRの対応を合わせて配線する
TRS-XLRのバランス・ラインケーブルは、両端の対応を間違えなければ自作できます。
- TRS TIP → XLR Pin 2
- TRS RING → XLR Pin 3
- TRS SLEEVE → XLR Pin 1
今回のBELDEN 88760では、赤をTIP/Pin 2、黒をRING/Pin 3、ドレインワイヤーをSLEEVE/Pin 1へ接続しました。
88760は硬く、被覆処理や端子への配置は少し手間がかかりますが、一度作り方を覚えればTRS-TRSなどにも応用できます。
また、XLRシェルをシールド側へ接続するかどうかでノイズが変わる場合があるのも、実際に作って使う中で覚えておくと役立つポイントです。
マイクケーブルの作り方はこちら👇
DTM DRIVER!
マイクケーブルの自作方法|XLRの配線・はんだ付け・必要な工具を写真で解説 | DTM DRIVER!
マイクケーブルの自作方法を実際の写真で解説。必要な工具と材料、XLRコネクターのPin 1・2・3の配線、ケーブル処理、はんだ付け、組み立て、完成後の導通確認まで順番にま…
ギターシールドの作り方はこちら👇
DTM DRIVER!
ギター・ベース用シールドケーブルの作り方|BELDEN 8412とNeutrikで自作 | DTM DRIVER!
ギター・ベース用シールドケーブルの作り方を写真で解説。BELDEN 8412とNeutrikのTSフォンプラグを使い、必要な工具、TIP・SLEEVEの配線、はんだ付け、NP2Xの注意点、導通…
バランス/アンバランス接続についてはこちら👇
DTM DRIVER!
バランスケーブルとアンバランスケーブルの違い|仕組み・ノイズ・使い分けを解説 | DTM DRIVER!
バランスケーブルとアンバランスケーブルの違いを解説。HOT・COLDを使ってノイズを減らす仕組み、XLR・TRS・TS・RCAとの関係、なぜアンバランス接続も使われるのか、DTMで…
DTMで使うケーブル全体はこちら👇
DTM DRIVER!
DTMケーブルの種類と違いをわかりやすく解説|接続・音の変化まで完全整理 | DTM DRIVER!
DTMで使うケーブルの基礎をまとめました。種類・接続(バランス/アンバランス)・音の違い・ファンタム電源・DIまで、全体像がつながる形で整理しています。最初に何を揃え…