ヴィンテージモジュールに必要な電源の自作方法についての記事です。
Neveでも定番の+24Vを作成例にし、回路の仕組みなどについて書きました!
電源は簡単に買うこともできますが、自作の方が高品質になる場合が多いです。
*過去記事を加筆修正しました
DIYは自己責任でお願いいたします!
怪我や事故破損など当サイトは一切責任を負えませんので、
自分でもよく調べて作業を行ってください。あしからず。
目次
音響機器は直流電源(DC)で動いている
まず日本のコンセントはAC100Vですが、
DTM用のほとんどの機材はAC100V(交流)をそのまま動力源に使ってません。
PC含め内部でDC(直流)に変換して使っています。
ヴィンテージなモジュールも例に漏れず、全てDC駆動になります。
僕が今まで動かしてきたモジュールで必要だった電圧をざっと書き出しますと、
| Old Neve | +24V |
| Telefunken等旧西ドイツモジュール | +24V |
| RFZ等旧東ドイツモジュール | -24v |
| SSL | ±18V ±20v +11V -25v +9v etc… |
| API | ±15〜16V |
| AMS Neve(V3やVRなど) | ±16V |
| Quad EIght | ±28V ±15v |
他にもあったかもしれませんが、とりあえず思い出せるものはこんな感じです。
ファンタム電源をつけるなら更に+48vも必要です。
全てDCです。
基本はDC+24V(プラスの単電源)で動くものが多いですが、
旧東ドイツのモジュールは-24Vというマイナス電源。
SSLやAPIのようなオペアンプ駆動のものは±15V(プラスマイナス15v)という両電源を使用します。
しかし、全ての基本はプラスの単電源!
なので今回は+24Vに絞って記事にさせていただきます。
DC+24Vの電源なら自作しなくても手に入る?
Neveなどを動かすための+24V電源は、実はどこでも入手する事ができます。
わざわざ自作しなくてもいいんです。
例えば、こういうやつ。
ポチップ
普通のACアダプターです。
アダプターとはつまるところ交流(日本だとAC100V)を任意のDCに変えるものです。
これ1つで簡単に+24Vが手に入ります。
更に、
ポチップ
これもおなじような動作をしてくれるスイッチング電源という機器。
ACアダプターも同じくスイッチング式という原理でACをDCに変換しています。
「じゃ、これ使えばいいんじゃない、、、?」
って話ですが。
答えは半分YES半分NOとなります!
スイッチング電源の音響的デメリット
スイッチング方式は、残念ながら音響的にはあまりよろしくないと言われています。
高周波にノイズが発生するので、音質に影響を与えるそう。
とはいえ、目立ったノイズが思い切り音に乗るわけではない(経験上)ので、
これでとりあえずいいと割り切れる方は、全然使用選択としてありだと思います!
むしろ現行のDTM機材でもこの電源方式は、実によく使われています。
アダプターで動かすマイクプリアンプやコンプ、オーディオインターフェースもこのタイプ。
ギターのエフェクターも9v電池ではなく、パワーサプライ経由なら正にこれ!
スイッチング電源使ってます。
このようにスイッチング電源はとても普及しています。
スイッチング電源のユーザー的メリット
スイッチング電源が普及しているのは
のが主な理由かと思います。
もしかしたらプロ用機は何か特別な技術で、音響的な部分をクリアしているのかもしれませんが、、、、
僕にはわかりません。
スイッチング電源は「とりあえずテストしたい!」という時にとても便利です。
可変式の直流安定化電源は特に便利!
僕も機材チェック時に使っております。
直流安定化電源の記事はこちら👇
DTM DRIVER!
直流安定化電源レビュー|オーディオ機材・エフェクターDIYの動作テストに便利 | DTM DRIVER!
オーディオ機材やエフェクター自作で使える直流安定化電源のレビュー。+24V、+9V、+18Vなどを手軽に取り出せる便利さ、価格、使い勝手を実体験ベースで整理しています。
それでもこだわりたい場合は頑張って自作する
とはいえ、せっかくのヴィンテージモジュール!
少しでも良い音で、機材の潜在能力をなるべく引き出したい!
というチャレンジャーな方は、自分で設計して作ってしまいましょう。
実際、自作でもスイッチング電源より音は良くなります。
音がより立つ感じです。
電源自作の全体図
電源自作のおおまかな全体図と流れは、
- トランスで電圧降下
- 整流回路
- 平滑回路
- 定電圧回路
- 直流出力!
となります!
-完成図イメージ-
それではそれぞれの手順がどんな内容なのか?
どんな風に作っていくのか?
いってみましょう!
コンセントのAC100Vを必要電圧まで電圧降下させる
まずコンセントから供給されるAC100vを、
そのままでは電圧が高すぎるため、任意の電圧まで下げます。
その際必要になるのが
電源トランスです。
電源トランスにも数種類ありますが、
ポチップ
とりあえずトロイダルトランスが音響機器では割と定番。
コスパ的にもバランスが良いと思います。
トランスの電圧の決め方
どれくらいトランスで電圧降下させればいいのでしょうか?
次の項目に出てくる整流回路でAC→DCに変換しますが、
その際AC電圧×1.41が直流電圧として出力されます。
(参考URL、細かい理論については本やネットでお調べください!)
今回の目的は+24vを得ることなので、
トランスはAC20V〜24Vくらいを選べばOkかと思います。
整流後のDC電圧は約28.2〜33.84Vになる計算です。
整流後電圧の自動計算器はこちら👇
DTM DRIVER!
AC→DC整流計算器|交流から直流電圧を自動計算 | DTM DRIVER!
AC電圧を整流した後のDC電圧を自動計算できるページ。自作直流電源やトランス選びで使うAC×√2≒AC×1.41の計算に対応しています。
メモ
今回の24Vを最終的に取りたい場合、トランスはAC18V出力でもギリいけます。
ただ、整流後の電圧がDC25.38とかなり24Vに近いので、
この後の回路で起こる電圧降下の関係によりここでは例に出していません。
僕はDC24Vを作る場合、良くAC18から整流しています。
理由はロスがほぼないので、まったく発熱がなく精神的にも安心だからです。
多少DC24Vを下回っても機材は動きます。
整流回路
次に下げた交流電圧を直流電圧に変えます。
これを整流といいます。
整流回路もいくつか種類がありますが(参考URL)
一番安定しているブリッジ整流を今回選びます。
この回路図のDと書いているのがダイオードという電子部品です。
おそらくほとんどの方が聞いた事あると思います。
この部品の性質は一方向にしか電流を流さない点。
ブリッジ整流ではダイオードを4個使って交流を直流に変えます。
この回路図だと、左から右に電流が流れていきます。
AC INからT(電源トランス)を経て電流の流れを追うと、
見事に一方通行に電流の流れが変わっています。
この一方通行になった結果が直流です。
青い流れが+の直流、赤い×の延長が0V(ー)となります。
この時点でAC電圧×1.41の直流電圧が出来上がります。
入力電圧がAC24Vの場合は、DC33.84Vが出力される事になります。
ポチップ
個人的におすすめのダイオードはこちら。
とりあえず整流用と書かれているものを選んでください。
平滑回路
整流された直流電圧は、そのままではとても歪で汚い状態です。
イメージとしてはジグザグしているノコギリ状の波形をしています。
これを滑らかな直線に変える必要があります。
その役目が平滑回路です。
この図のようにコンデンサーという部品を、整流回路に並列に挟みます。
以上で平滑回路は完了!
これで汚いDC電源を奇麗にすることができます。
コンデンサーには様々な種類や規格がありますが、
平滑回路では電解コンデンサーを使うのが一般的。
電解コンデンサーの規格の決め方
電解コンデンサーには容量と耐圧の二つの規格があります。
今回だと耐圧は50V以上を選ぶと無難だと思います。
平滑回路での電解コンデンサーの容量の決め方についてですが、
- 容量を大きくすればするほど音がよくなる
- 最低限の容量があればOk
と諸説あります。
僕は、5000uF(マイクロファラド)ぐらい積めばとりあえずOkとしてます。
実験で40000uF積んでみた事もありましたが、、、、
個人的にはあまり好みではない方向に音が変わった記憶があります。
クリアになりすぎて、機材の持つカラーが薄れるイメージ。
ヴィンテージ時代の電源の平滑コンなんて1000uFとかですしね。
とはいえ、こここそ自作の醍醐味なので色々と試してみてください!
ちなみにコンデンサーは複数個を繋いで容量を増やしたい場合、
並列に繋がないといけません!
抵抗などのように直列に繋ぐと逆に値が半減していくので注意が必要です。
電解コンデンサーは接続方向に注意!
電解コンデンサーは電池と同じく+と−があります。
極性を間違えて逆に接続すると、ぷしゅーっ!!と弾けます。
ケミカルなポップコーン臭が漂って、非常に臭いです、、、。
接続方向には十分ご注意下さい!
*極性のない電解コンもあります
定電圧回路
そして最後に繋げるのが定電圧回路です。
ここまで行なってきた回路設計で綺麗な電流が流れるようになりました。
AC24Vは整流回路を経てDC+33.84Vの直流となると書きました。
しかし実際は、ダイオードを通ることで起きる電圧降下もあるため、
実測だと約DC+30〜32v付近になっているはずです(ダイオードの種類によってまちまちです)
そして、最後にこれを今回の目的であるDC+24Vに固定します!
ポチップ
定電圧回路では三端子レギュレーターという部品を使います。
今回はDC24V出力してくれるNJM7800を選定。
定電圧回路はこんな感じ。
左から電流が入って、右から出て行きます。
三本足のレギュレーターの1、2、3にそれぞれ配線をしていきます。
仕様はこちら。
足の番号とin/out/GNDの対応をよく確認しながら配線します。
このような感じで、配線を組んで行くと目的だったDC+24Vを作る事ができます!
あと少し!
全部を繋げてみよう!
そしてここまで登場してきた回路、全てを1つに繋ぐと、、、こんな感じに。
間違ってトランスが2重になってるので赤バツしてます
へったくそな図で申し訳ございません!!
、、、どうでしょうか、、?
興味が相当なければ、めっちゃ面倒くさいかもですね。
何の知識も訓練も積まずに、ここまでを初見でわかりやすい!と思ってくださった方!
相当才能がある方と思いますので。
DTMerの未来の為に、是非、音響の研究職に進んでいただきたいです!!
無理って、思った方、ごめんなさい、僕の説明能力不足の可能性大です!
その場合は次の方法もあります!
キットを使えば楽です
ここまで回路ごとに説明させていただきましたが、
なんと全部をまとめたキットなんてものも売っております。
ポチップ
これは両電源用のキットですが、+の単電源だけ取り出すこともできます。
最大37Vまで調整できるのでこういうのを使うのもアリです!
むしろ僕は現在こういうのばっかり使ってます。楽なので。
このキットは整流、平滑、定電圧(電圧調整可能)を全てやってくれます。
あとは任意のトランスを用意すれば良いだけ。
まとめ
DIYは自己責任でお願いいたします!
怪我や事故破損など当サイトは一切責任を負えませんので、
自分でもよく調べて作業を行ってください。
音響用電源の作り方の記事でした!
今回は単電源+24vの作り方でしたが、同じ方法で別の電圧も作れます。
また、応用編で両電源の作り方も書かせていただきました!
よろしければ合わせてご参考ください👇
DTM DRIVER!
両電源の作り方|オーディオ機材自作で使う正負電源の基本 | DTM DRIVER!
オーディオ機材自作で使う両電源の作り方を解説。±18V電源を例に、トロイダルトランス、両電源キット、整流後電圧の考え方、配線の流れを整理します。
最後までお読みいただきありがとうございました!