それではCarnhillトランスを実際に機材に接続する方法についてです。
この記事ではアウトプットトランスに絞って書かせていただきます。
インプットトランスは以下の記事にてご説明しております。
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目次
作業に入るその前に
ご一読ください。
ここから先はある程度知識がある方や、ハンダ経験のある方、
機材が不調になっても自己責任だと割り切れる方、
未来のためにDIY技術を身につけておきたい方以外は、決して実践しないでください。
あくまで自己責任でよろしくお願いします!!
ただ、電気系統をいじるわけじゃないので、機材DIYの中で比較的簡単な作業だと思います!
ただ何かあっても、僕は一切責任は取れません。
あしからずよろしくお願いいたします(人´∀`*)
トランスの仕様書を確認する
それでは、販売サイトAMLに載っている仕様書を確認していきましょう。
VTB1148の仕様がこちらになります。
初めてこういう表をご覧になる方は、なんのこっちゃわからないですよね。
オーディオトランスの深い知識については、検索すると少数ですがヒットします。
是非参考にしていただき、じっくり理解されてください。
僕の方ではなるべく平易に書いていきます(*´ω`)ゝ
トランスの入り口と出口について
まずトランスには1次(Primaries)と2次(Secondaries)といって、入り口と出口があります。
画像の赤線部分。
基本的には1次から音が入って2次から出て行きますが、
逆から信号を送っても問題ありません。
実際DIなんかではそういう使い方をします。
ただここでは、とりあえず1次→2次と覚えてください。
トランスには1次と2次がある
直列と並列の繋ぎ方
そして1次と2次は、各々結線の仕方を選べます。
仕様書にSeriers(シリーズ)とParallel(パラレル)と書いてありますが、
これはそれぞれ直列と並列の英語表記です。
トランスのピン同士を直列で繋ぐか、並列で繋ぐかでインピーダンス(Ω)が変わります。
インピーダンスが変わるとトランスで稼げる音量(ゲイン)も変わってきます。
図がありますので線を書いちゃいます。
1次側(左)が直列、2次側(右)が並列の繋ぎ方です。
この繋ぎ方をすると、赤線部分のように、
200Ω対150Ωで出力は−2dBになることになります。
だいたい基本はこんな感じです!
そして、Neveレプリカの場合はどういう繋ぎ方になっているのか?実際に調べてみました。
本家1073の回路図をネットから拾ってみたり、英語のサイトを頑張って読んでみた所、
どうやら1073のアウトプットトランスは1次2次共に直列で繋いでいるようです。
こうですね。シンプル。
で、実際すごく間違えそうな部分を見つけたので付け加えさせていただきます!
上の図だとああいう配線になるんですが、
実際のトランスのピンの配置を見ると場所の並びがずれているので、実際直列にピンを結線するとこうなります。
ひっかけです、、。
一応参照元の1073の回路図があったサイトもリンク貼りますので、ご確認ください。
こちら。
出力の部分の回路図を拡大するとこうなってます。
2次側に並列に、直列に繋がった抵抗+コンデンサーが付いています。
確か僕の手持ちのLo1166(Neveのトランス)にも抵抗とマスタード呼ばれるフィルムコンが付いてましたね。
値は1.5kの抵抗と、0.01マイクロファラドのコンデンサです。
つまり、こう結線する
詰まるところ、
こう結線します!
スチロールコンデンサーがついている個体もネットででてきますので、ここはお好みで研究してみてください!
-レプリカから取り出したらCarnhillトランス-
実際、Neveレプリカもこの接続方法になってました。
これは友人からいただきました(笑)
コンデンサの値がオリジナルと違う?のは、ちょっとしたトッピングでしょうか。
結構自由なんですね。
以上、これでトランス自体の結線はOKです!
1次と2次を機材のどこに繋ぐのか?
あとは入り口と出口をどこに繋ぐか?です。
汚い図ですがこうなります↑
- ピン1はアンプからの出力信号を繋ぎます(ここがトランスへのインプット)
- ピン3は機材の0V(GND)に繋ぎます。
- ピン5に出力XLRのHotを繋ぎます(ここがトランスから正相アウトプット)
- ピン8に出力XLRのColdを繋ぎます(ここがトランスから逆相アウトプット)
これでわかる方は、このように結線してください。
以上で配線終了です、お疲れ様でした!
正相?逆相?と謎な方はもう少しお付き合いください(´⊙౪⊙)۶
トランスの一番大事な役割
トランスには、ここまで出てきたような
ことの以外に大事な役割があります。
それがアンバランス→バランス変換、もしくは逆のバランス→アンバランス変換です。
アンバランス/バランス変換、正相や逆相について
別記事に詳しく書いてますので、ここではざっくりといきましょう。
マイクからプリアンプに入ってくる信号は、基本レコーディングではバランス転送で入ってきます。
その理由はバランス転送はノイズに強いからです。
バランス転送には、正相と逆相(元の信号をひっくり返した信号)の二つが走っています。
マイクのキャノンケーブルは3つピンがありますが、
-マイクのコネクターを分解した図-
ひとつはグランド、ひとつは正相、ひとつは逆相用に振り分けられています。
1番グランド、2番ホット(正相)、3番コールド(逆相)、と呼びます。
この中で2番ホット(正相)と3番コールド(逆相)の信号をトランスで受けます。
1のグランドはシールドの役割をなので、信号は通りません。
そして増幅する信号は正相一つで十分なので(信号を一つにまとめられれば、逆相までわざわざ増幅する必要はないので)
トランスでアンバランス化して正相信号だけアンプで増幅するわけです。
アンバランスというのは、バランスではない、つまり1相のみということ。
これがインプットトランスの大事な役割です。
そして、アウトプットトランスの役割はアンプで増幅されたアンバランス(1相)の信号を、
もう一度2相に変換してまたノイズに強い状態で外部に出力することです。
レコーディング機器のアウトも、インプット同様キャノンが多いのはこれが理由です。
RECにノイズは厳禁ですからね。
なぜバランス転送がノイズに強いのか?などより詳しく書いてますので、
もし良ければついでにどうぞ( ・ὢ・ )!
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終わりに
※間違っている箇所などあるかもしれませんので、僕の書くことを全て信じずご自身でも疑いながら作業を進めてください。
あくまでも僕ができるのは一個人を通した情報提供です。
よろしくお願い致します(´◔౪◔)◞
次回はインプットトランスの配線方法についての記事となります。
最後までお読みいただきありがとうございました!
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