ギター・ベース用のシールドケーブルの自作方法です。
BELDEN 8412とNeutrikのTS(モノラル)フォンプラグを使って、必要な工具からTIP・SLEEVEの配線、ケーブル処理、はんだ付け、最後の導通確認まで写真で順番に解説します。
シールドケーブル自作そのものは比較的シンプルですが、今回使うBELDEN 8412は太めで、中の繊維も多いので少し処理に手間がかかりました。
以前MOGAMI 2534でもケーブルを作りましたが、作業のしやすさだけで見ると8412の方が少し面倒でした。
目次
ギター・ベース用シールド自作に必要な工具と材料
まずは今回使う工具と材料を揃えます。
- ケーブル
- TS(モノラル)フォンプラグ
- はんだごて
- はんだ
- ニッパーまたはワイヤーストリッパー
- 作業クリップ(あると便利)
- テスター
はんだごては高温になるため、安定した作業場所を確保して換気しながら作業します。
ケーブル
今回はBELDEN 8412を使います。
8412は白・黒の2芯と錫メッキ銅の編組シールドを持つケーブルです。
外径は公称6.65mm。今回のようなギター・ベース用シールドとして使う場合は、必要な長さだけ用意します。
ポチップ
BELDEN 8412の音や使い方についてはこちら👇
DTM DRIVER!
BELDEN 8412レビュー|音質の特徴と88760との違い・使い分け | DTM DRIVER!
BELDEN 8412を実際に録音やケーブル自作で使ってきた感想をレビュー。中域の厚みや存在感、BELDEN 88760やMOGAMI 2534との違い、マイク録音・ギター・ベースでの使い分け、…
TS(モノラル)フォンプラグ
一般的なギター・ベース用シールドにはTS(モノラル)フォンプラグを使います。
今回はNeutrikのNP2Xを選びました。
両端をストレート型にしましたが、使い方によっては片側をL字型にしても構いません。
ポチップ
ポチップ
TSとTRSの違いやフォンプラグの構造はこちら👇
DTM DRIVER!
フォンプラグの構造と配線ルールを解説|TS・TRS・バランス・アンバランスの違い | DTM DRIVER!
フォンプラグの構造と配線ルールを整理しました。TSとTRSの違い、ステレオとモノラル、バランスとアンバランス、XLRとの対応関係まで、ケーブル自作やDTM接続で迷いやすい…
はんだごて・はんだ
はんだごては使いやすいもので大丈夫です。
僕が使っているものはかなり長く使い続けています。
はんだはKESTER44を使っています。
ケーブルを数本作るだけなら、ロールではなく少量販売されているものでも十分です。
ポチップ
ポチップ
ポチップ
ニッパー・ワイヤーストリッパー
ケーブルの外皮や芯線の被覆を剥くために使います。
僕はニッパーだけで作業していますが、ワイヤーストリッパーを使えば芯線を傷つけにくく、作業もしやすくなります。
ポチップ
ポチップ
作業クリップ
必須ではありませんが、プラグやケーブルを固定できる作業クリップがあるとはんだ付けが楽です。
両手を使ってはんだ付けできるので、僕はこうした固定具を使っています。
ポチップ
テスター|導通とショート確認
テスターは完成した配線が正しいか確認するために使います。
僕はケーブルを作る時に必ず使っています。
TIP同士、SLEEVE同士が導通しているかだけでなく、TIPとSLEEVEが途中でショートしていないかも確認します。
ポチップ
必要なものを並べると、このくらいの量になります。
ケーブル1本を作るだけと考えると大仰ですが、一度工具を揃えればマイクケーブルやラインケーブルなど別の自作にも使えます。
ギター・ベース用シールドケーブルの作り方
それでは実際に作っていきます。
今回の基本配線は次の通りです。
- TIP → 信号線
- SLEEVE → 残りの線+編組シールド
BELDEN 8412では今回は白をTIP側、黒と錫メッキ銅の編組シールドをSLEEVE側に接続します。
反対側も必ず同じ配線にします。
フォンプラグのTIPとSLEEVEを確認する
最初にフォンプラグの構造を確認します。
今回使ったNeutrikのプラグは複数の部品に分かれています。
はんだ付けするのは先端側のプラグ部分です。
この2か所へ配線します。
プラグ先端につながる端子がTIP、外側の胴体部分につながる端子がSLEEVEです。
プラグの部品を先にケーブルへ通す
はんだ付け前に必ずやっておきたい作業です。
プラグを組み立てるための部品を、先にはんだ付けするケーブルへ通しておきます。
僕は両端分とも作業前に通しておくようにしています。
これを忘れて両側のプラグをはんだ付けしてしまうと、あとから部品を通せずやり直しになります。
熱収縮チューブを使う場合も、必要なものはこの段階で先にケーブルへ通しておきます。
ポチップ
ケーブルの外皮を剥く
次にケーブルの外皮を剥きます。
剥く長さは使用するプラグへ実際に当てて確認します。
中の芯線を傷つけないように外皮だけを切ります。
8412は内部に白・黒の2芯、錫メッキ銅の編組シールド、保護用の繊維があります。
不要な繊維は作業の邪魔にならない位置でカットします。
2芯と編組シールドを整理する
白・黒の2芯と錫メッキ銅の編組シールドだけを残します。
広がっている編組シールドをほぐして1本にまとめます。
白と黒の芯線も、プラグへ接続できる長さだけ被覆を剥きます。
TIP側とSLEEVE側の線を作る
今回は白をTIP側の信号線として使います。
黒線は錫メッキ銅の編組シールドとまとめ、SLEEVE側へ接続します。
つまり今回の配線は次の形です。
- 白 → TIP
- 黒+編組シールド → SLEEVE
白と黒のどちらをTIP側にするかは任意ですが、反対側も必ず同じ芯線をTIPへ接続して配線を統一します。
TIPとSLEEVEに合わせて線の長さを調整する
線を実際のプラグへ当て、TIPとSLEEVEの端子位置に合わせて長さを調整します。
特にSLEEVE側の編組シールドがTIP端子やTIP側の線へ触れないようにします。
ここが触れるとTIPとSLEEVEがショートするため、長ければカットします。
必要であれば、この段階で芯線を軽く予備はんだしてまとめておくと作業しやすくなります。
TIPとSLEEVEにはんだ付けする
長さを合わせたらプラグへはんだ付けします。
- TIP → 白線
- SLEEVE → 黒線+編組シールド
作業中の写真は撮れませんでしたが、はんだ付け後がこちらです。
ものすごく美しいはんだ付けというわけではありませんが、重要なのはTIP側とSLEEVE側が触れていないことです。
余った線やはんだが隣の端子へ触れていないかも確認します。
BELDEN 8412でNP2Xを使う場合はチャックの指定部分を折る
BELDEN 8412とNeutrik NP2Xを組み合わせる場合、ここは注意が必要です。
僕は最初、8412が太くてコネクターを最後まで締められず、「この組み合わせは厳しいのでは」と思いました。
しかし原因はケーブルが適合していないことではなく、NP2X内部のチャック処理をしていなかったことでした。
NP2Xの対応ケーブル径は4〜7mm。BELDEN 8412の外径は公称6.65mmなので対応範囲内です。
ただしNeutrikでは、外径5.5mmを超えるケーブルを使う場合、内部にあるプラスチック製チャックの指定部分を折って使うよう案内されています。
8412は6.65mmなので、この処理が必要になります。
無理に締め込まず、チャックを確認してから組み立ててください。
ここは僕も一度引っかかったポイントです。
NP2Xの組み立て方法はこちら。
Neutrik NP2X 製品ページ
プラグを組み立てて反対側も同じ配線で作る
はんだ付けとチャックの処理を確認したら、残りの部品を組み立てます。
片側が完成したら、反対側も同じ手順で作ります。
配線も同じです。
- TIP → 白線
- SLEEVE → 黒線+編組シールド
これで両端の加工は完了です。
一丁あがり。
テスターで導通とショートを確認する
完成したら、機材へつなぐ前にテスターで確認します。
- TIP ↔ TIPが導通している
- SLEEVE ↔ SLEEVEが導通している
- TIPとSLEEVEがショートしていない
僕もケーブル制作では、この確認を必ず行っています。
今回は導通に問題がなく、実際の音出しも正常でした。
BELDEN 8412のシールドケーブル完成
これでBELDEN 8412を使ったギター・ベース用シールドケーブルの完成です。
8412は太く、内部の繊維や編組シールドの処理もあるので、作業中は結構カスが出ます。
掃除しやすい場所で作業した方が楽です。
また、フォンプラグによってケーブルの固定方法や組み立て方は異なります。
今回使ったNeutrik以外では、CLASSIC PROのフォンプラグもこれまでかなり使ってきました。
CLASSIC PROのフォンプラグについてはこちら👇
DTM DRIVER!
CLASSIC PROのフォンプラグは使える?P12・P12Sを100本近く使ったレビュー | DTM DRIVER!
CLASSIC PROのフォンプラグP12・P12Sを100本近く使ってきた経験から、実用上の品質や音、Neutrik・Switchcraftとの違い、大量自作や固定配線での使い分けを解説します。
まとめ|TSはTIPとSLEEVEを正しく配線する
ギター・ベース用のTSシールドケーブルは、構造そのものはシンプルです。
- TIP → 信号線
- SLEEVE → リターン側の芯線+シールド
- 両端を同じ配線にする
- TIPとSLEEVEをショートさせない
- 完成後にテスターで導通を確認する
今回のBELDEN 8412では、白をTIP、黒+錫メッキ銅の編組シールドをSLEEVEへ接続しました。
NP2Xを使う場合は、8412の外径に合わせてチャックの指定部分を処理することも忘れないようにします。
一度作り方を覚えれば、必要な長さや好きな線材、プラグを組み合わせてシールドを作れるようになります。
ケーブル自作はやっぱり楽しいです。
XLRマイクケーブルの作り方はこちら👇
DTM DRIVER!
マイクケーブルの自作方法|XLRの配線・はんだ付け・必要な工具を写真で解説 | DTM DRIVER!
マイクケーブルの自作方法を実際の写真で解説。必要な工具と材料、XLRコネクターのPin 1・2・3の配線、ケーブル処理、はんだ付け、組み立て、完成後の導通確認まで順番にま…
TRSとXLRを使ったラインケーブルの作り方はこちら👇
DTM DRIVER!
TRS-XLRラインケーブルの作り方|BELDEN 88760で自作・配線を写真解説 | DTM DRIVER!
TRS-XLRラインケーブルの作り方を実際の写真で解説。BELDEN 88760を使い、TIP・RING・SLEEVEとXLR Pin 1・2・3の配線、はんだ付け、組み立て、導通確認、XLRシェル接続でノ…
DTMで使うケーブル全体はこちら👇
DTM DRIVER!
DTMケーブル完全ガイド|種類・接続・音質・自作まで全体整理 | DTM DRIVER!
DTMで使うケーブルを全体から整理したガイドです。ケーブルの種類、バランス・アンバランス接続、TRS・TS、コネクター、音質比較、マルチケーブル、自作まで、関連する解説…