ベースやドラムのキックを録音する時、実際のレコーディング現場ではどんなマイクが使われているのか。
以前、知人経由でプロのレコーディングスタジオにお邪魔する機会がありました。
そこで低音楽器の録音に使われていたのが、AKG D112、audio-technica ATM25、NEUMANN U 47 FET。
どれも低音楽器用として名前を聞くマイクですが、実際の現場でもしっかり使われていました。
そして印象に残ったのは、マイクそのものだけではありません。
生楽器の音は、1本のマイクやラインだけで完成させているわけではない。
特性の違う音を録って、それを混ぜながら一つの楽器の音を作っていく。
実際のレコーディング現場を見て、その部分もかなり勉強になりました。
目次
プロのレコーディング現場で見た低音用マイク3本
今回スタジオで見たのは、低音楽器の録音では定番として名前が挙がる3本です。
D112とATM25はダイナミックマイク。
そこへNEUMANN U 47 FETという、かなり価格帯の違うコンデンサーマイクも使われていました。
AKG D112|キックの低音を拾う定番
まずはAKG D112。
いわゆる「たまごマイク」です。
見た目そのまま。可愛いですよね。
僕はベースより、ドラムのキックに使われているのをよく見かけます。
キックのフロント側の穴へ半分くらい入っているイメージ。
実際、今回見たプロの現場でも使われていました。
音の印象は、アタックをカチッと拾うというより「ウン」と鳴る低音のおいしいところ。
ふくよかなローが欲しい時に、この感じが効いてきます。
低音楽器の命ですね。
写真は初代D112ですが、現在は後継のD112 MKIIが販売されています。
D112 MKIIはマウント構造が変更されつつ、初代D112の音響的な特徴を受け継いだモデルです。
AKG ( アーカーゲー ) / D112MKII サウンドハウス
ポチップ
audio-technica ATM25|小型でもベース・キック向け
もう1本はaudio-technica ATM25。
本体はかなり小さいですが、こちらも低音楽器に使われていたダイナミックマイクです。
キックにもベースにも。
僕がこの記事を書いた当時は2万円台前半で、D112と同じく比較的手を出しやすい価格帯でした。
現在、ATM25はaudio-technicaでは生産完了品となっています。
ベースをマイクで録ると、ラインだけとはかなり違った音になります。
低音がとても芳醇。
後でカットしたくなるくらいローが出ることもあります。
ライン録音だけで作るのとは別の質感。
ベースを生で録れる環境があるなら、この音を混ぜるのも面白いです。
audio technica ( オーディオテクニカ ) / ATM25 サウンドハウス
ポチップ
NEUMANN U 47 FET|キックやベースで使われる高級定番
そして一気に価格帯が上がるのがNEUMANN U 47 FET。
1972年に、真空管マイクU 47のソリッドステート後継として登場したモデルです。
一度生産終了した後、2014年から再び生産され、現在も入手できます。
ベースやキック録音で名前を聞くことが多く、今回の現場でも使われていました。
キックでは、D112のように中へ入れるというより、少し離した位置に立てられているイメージがあります。
キックのフロント側はかなり大きな音が出ます。
普通なら、あの位置にコンデンサーマイクを置くのはちょっと怖い。
U 47 FETは最大137dB SPL、-10dBパッドを入れると147dB SPLまで対応します。
こうした大音量へ対応できることも、キックやベースキャビネットで使われる理由の一つです。
低音の量だけではなく、ローエンドのおいしいところを滑らかに、くっきり録る。
そういう用途で長く使われてきたマイクです。
低音楽器専用ではなく、ボーカルやギターアンプなどにも使われています。
現場で見ていたら、僕も一本欲しくなりました。
ギターも録ってみたい。
ポチップ
ベースやキックは1本のマイクだけで音を作っているわけではない
今回レコーディング現場を見ていて、マイク以上に印象に残ったことがあります。
生楽器の音は、1本のマイクやラインだけで出来上がっているわけではない。
特性の違うマイクを使う。
狙う位置を変える。
距離も変える。
そこにラインの音が加わることもあります。
そうやって録った複数の音を、最後にうまく混ぜていく。
ミックスして、一つの楽器の音にする。
「良いマイクを1本立てれば完成」という話ではないんですよね。
レコーディング現場で、また一つ勉強になりました。
DTMでもベースをマイク録音する意味はある
DTMだと、ベースはラインで録ることも多いと思います。
もちろんラインだけで作ることもできます。
ただ、実際にマイクで録るとラインとは違う低域が入ってきます。
僕が特に印象に残っているのは、やっぱり低音の芳醇さ。
出すぎて後で削りたくなるくらい。
でも、その成分がラインにはない質感になることがあります。
マイク録音の方がラインより上、という話ではありません。
違う音が録れる。
そして必要なら混ぜられる。
実際の現場を見ていると、そこが生録の面白さなんだと思います。
まとめ|定番マイクより印象に残ったのは録音の組み立て方
プロのレコーディング現場で見た、ベースやキック録音用マイクの記録でした。
AKG D112。
audio-technica ATM25。
そしてNEUMANN U 47 FET。
実際に定番と言われるマイクが使われていたのは面白かったです。
特にU 47 FETは欲しくなりました。
ただ、それ以上に印象に残ったのはどう録った音を組み合わせるかという部分。
一本のマイクだけではなく、違う特性の音を録って混ぜていく。
その日はマイク以外にも豊富なアナログ機材が使われていて、普段のDTM環境とはまた違う音に触れられました。
音が肉厚。
音響の世界はやっぱり奥が深いです。