Empirical Labs FATSO Jrのレビューです。
7種類のコンプレッサータイプに加えて、TRANNYやWARMTHによる質感調整までできる多機能なアウトボードです。
実際に2ミックスへ使いながらかなりの数の比較音源を作りましたが、聴き比べて一番印象に残ったのは、どのコンプタイプを選んでもしっかりFATSO Jrの音になることでした。
嫌なコンプ臭さがなく、中低域がどしっとして滑らかになる感じが特に気に入っています。
今回はコンプレッサー部分を中心に、各タイプやTRANNYを組み合わせた実音源までまとめます。
目次
FATSO Jrはどのコンプタイプでも「FATSO Jrの音」になる
FATSO Jrは複数のコンプレッサータイプを選べますが、実際に聴き比べてみると、どのタイプにしてもFATSO Jrらしい音色があります。
どのパターンでも、FATSO Jrを通すと明らかにミックスが気持ち良くなります。
そして嫌なコンプ臭さが全くないのも大きな特徴です。
ポチップ
特に中低域の変化がたまりません。どしっとして滑らかです。
一方で、各タイプが元になったコンプレッサーをどこまで再現しているのかという部分では「?」がつく感じもあります。
ただ、どれも良い感じなので、僕はそこをあまり気にしていませんでした。
個人的には2ミックスへ通すことが多く、BUSSタイプが使いやすくて好きです。
FATSO Jrは7種類のコンプレッサータイプを選べる
Empirical Labs FATSO Jrは、COMPボタンを押すたびにLEDが切り替わり、基本4タイプとSPANKとの組み合わせで7種類のコンプレッサータイプを選べます。
- BUSS→2:1のソフトニー、遅めのアタックと速いリリース
- G.P→中程度のアタックと遅めのリリース
- Tracking Comp→1176タイプ
- SPANK→SSLトークバックコンプレッサーを意識したリミッタータイプ
- SPANK+BUSS
- SPANK+G.P
- SPANK+Tracking Comp
SPANKはかなり激しめのコンプレッションです。
BUSS、G.P、Tracking Compのように方向の違うコンプレッサーを選びながら、さらにSPANKとの組み合わせまで作れます。
ステレオコンプなので、2ミックスにも使えます。
アタックやリリースは個別に調整できない
ただし、スレッショルド、レシオ、アタック、リリースは個別に調整できません。
各タイプを選んだ時点で、それぞれの設定が決まります。
タイプを選んだらInputを中心にコンプレッション量を決め、Outputでレベルを合わせていく使い方です。
細かく設定を作り込むタイプではありませんが、直感的に使うだけでなんとなく良い感じにしてくれます。
TRANNY・WARMTHでサチュレーションや高域の質感も変えられる
FATSO Jrはコンプレッサーだけでなく、サチュレーションや高域の質感を変える機能も付いています。
- Inputを上げてサチュレーションさせ、2次・3次を中心とした倍音を加える
- WARMTHでアナログテープのように高域を丸める
- TRANNYでトランスを通したような低域の倍音やサチュレーションを加える
コンプレッサーと組み合わせることで、かなり多くの音色を作れます。
倍音調整については別記事で詳しく書いています👇
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FATSO Jrのコンプレッサーを実音源で比較する
ここからは、コンプレッサーによる音の変化を実際に録音して比較します。
元の音源はLogic Xのループファイルを組み合わせて作りました。
この2ミックスをオーディオインターフェースからFATSO Jrへ送り、タイプやTRANNY、リダクション量を変えながら録音しています。
元のファイル
BUSS 軽くリダクション
BUSS+TRANNY(トランスIN)
BUSS+TRANNY 深めなリダクション
G.P 軽めなリダクション
G.P+TRANNY
G.P+TRANNY 深めなリダクション
Tracking Comp(1176タイプ)軽めなリダクション
Tracking Comp+TRANNY
Tracking Comp 深めなリダクション
SPANK(トークバックリミッター風)軽めなリダクション
SPANK+TRANNY
SPANK 深めなリダクション
SPANK+BUSS 軽めなリダクション
SPANK+BUSS+TRANNY
SPANK+BUSS 深めなリダクション
SPANK+G.P 軽めなリダクション
SPANK+G.P+TRANNY
SPANK+G.P 深めなリダクション
SPANK+Tracking Comp 軽めなリダクション
SPANK+Tracking Comp+TRANNY
SPANK+Tracking Comp 深めなリダクション
比較して分かったFATSO Jrの音
改めて並べて聴くと、組み合わせの多さ以上に、FATSO Jr自体の音色がしっかりあることが分かります。
どのパターンでも、FATSO Jrを通すと2ミックスのまとまり方が気持ち良いです。
何も考えずに使ってもこの効果を得やすいところは、かなり便利でした。
そして、やはり嫌なコンプ臭さが全くないのが大きいです。
特に中低域の変化がたまりません。どしっとして滑らか。
各タイプのモデル再現度については「?」がつく感じですが、どのタイプでもFATSO Jrの音がして、それ自体が良いので僕はあまり気になりませんでした。
個人的には2ミックスへ通すことが多かったので、BUSSタイプが一番使いやすくて好きです。
TRANNY・WARMTHを加えた音源も比較する
続いて、コンプレッサーだけでなくサチュレーションやWARMTHまで加えたパターンも録音しました。
元のファイル
コンプなしで音を突っ込むだけ(サチュレーション)
コンプなしで音を突っ込む+WARMTH
BUSS+TRANNY+WARMTH
BUSS+TRANNY+WARMTHを深めにかける
倍音やWARMTHを加えるとアナログの温かみが強くなった
これは良いです。
いわゆるアナログの温かみがグッと増します。
こういう音を作れるのは、FATSO Jrを使っていてかなり気持ち良いところです。
万能ではなく、FATSO Jrの音が欲しい時に使う機材
ここまで見ると何でもできる機材にも見えますが、そうではないです。
コンプレッサーはスレッショルド、レシオ、アタック、リリースがタイプごとに決まっています。
さらにFATSO Jr自体の音色もかなり特徴的なので、どのコンプタイプにしてもFATSO Jrの音がします。
そのため、使う場面は考える必要があります。
ただ、この音色自体が好きな方には極上の一品だと思います。
ポチップ
僕にとってはまさにそんな一台です。
特に倍音やWARMTHによる質感調整は、いろいろな音に使いたくなってしまいます。
DTM特有のデジタルっぽさを和らげたい時にもかなり使いやすかったです。
そのぶん、使い過ぎには注意が必要でした。
まとめ
Empirical Labs FATSO Jrは、7種類のコンプレッサータイプとサチュレーション、WARMTH、TRANNYを組み合わせられる多機能なアウトボードです。
ただ、実際に大量の音源を比較して感じたのは、タイプごとの再現性よりも、どの設定でもFATSO Jrらしい音になることでした。
嫌なコンプ臭さがなく、中低域がどしっとして滑らかになる質感はかなり気に入っています。
万能ではありませんが、この音色が欲しい時にはかなり頼りになる一台です。