コンプレッサーのタイプごとの音の違いを、実際のハードコンプレッサーで比較実験してみました。
今回は、
の4タイプを軸に、手持ちのハード6台を同じ素材で聴き比べます。
途中面白くなってきたので、VCA、オプティカル、FETはUADのプラグインも追加しました。
実際に聴いてみるとタイプごとの傾向は感じましたが、最後には「コンプタイプだけで音を分けるのは難しいな」というところまで行き着きました。
ハードとプラグインの違いも合わせて聴き比べてみます。
目次
今回比較したコンプレッサー
VCA|WARM AUDIO BUS-COMP / Portico II Master Buss Processor
VCAタイプは2台使います。
まずWARM AUDIO BUS-COMP。
SSLコンソールのバスコンプをベースにしたWARM AUDIOのステレオコンプレッサーです。
VCAコンプといえばSSLのバスコンプやdbx160あたりが代表的な機種としてよく挙げられます。
ポチップ
もう1台はRUPERT NEVE DESIGNS Portico II Master Buss Processor。
RUPERT NEVE DESIGNSのマスタリング用コンプレッサーです。
こちらも今回VCAタイプとして比較に入れます。
ポチップ
コンプ以外の機能も豊富ですが、今回はコンプレッサー部分の音を聴きます。
WARM AUDIO BUS-COMPの記事はこちら👇
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オプティカル|WARM AUDIO WA-2A
オプティカルタイプはWARM AUDIO WA-2Aを使います。
TELETRONIX LA-2Aに代表される光学式コンプレッサーで、オプトアッテネーターを使って光の強弱でリダクション量をコントロールします。
WA-2AはLA-2A系の構成を再現した製品で、コンプ後のゲインは真空管で稼ぎます。
ポチップ
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真空管|TAB/TELEFUNKEN U73b
真空管タイプはTAB/TELEFUNKEN U73bです。
Vari-Mu方式の真空管コンプレッサーで、ビートルズコンプとしても知られているヴィンテージ機材です。
この個体はスレッショルドとゲインをDIYで外に引き出してあります。
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FET|KLARK TEKNIK 76-KT
FETタイプはKLARK TEKNIK 76-KTです。
UREI 1176に代表されるFETタイプは、設定次第で非常に速いアタックタイムを作れるコンプレッサーとして知られています。
76-KTは1176 Rev D / Eをベースにしたモデルです。
ポチップ
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Siemens U273も比較に加えた
そしてもう1台、Siemens U273も比較に加えます。
Siemens U273はトランジスタ回路を使ったダイオードブリッジ式のコンプレッサーです。
世界で初めて作られたソリッドステートコンプレッサーとも言われています。
今回のVCA、オプティカル、真空管、FETの4分類とは別枠にしました。
後のNEVE 2254との回路上の類似を指摘する説もあります。
かなりレアな機材で、手持ちの中でもトップクラスに大事にしている一台です。
6台のハードと3種類のプラグインを同じ素材で比較
ここまで紹介した6台のハードコンプレッサーを聴き比べます。
さらにBUS-COMP、WA-2A、76-KTの元ネタに近いUADプラグインも追加します。
3つともUADのプラグインです。
比較視聴の元になる音源はLOGIC Xのループ素材を組み合わせました。
モノラルコンプを基準にするため、初めから音源もモノラルにしています。
ステレオコンプにもモノラル1ch分だけ音を送ります。
各コンプレッサーは、パッと触って良い感じだと思った設定です。
設定値を完全に揃えた測定的な比較ではなく、それぞれの機材で自然に使いたいと思ったところへ設定して聴き比べています。
それでは聴き比べます。
元のファイル
VCA|WARM AUDIO BUS-COMP
VCA|UAD SSL BUSS COMP G
VCA|RUPERT NEVE DESIGNS Portico II Master Buss Processor
オプティカル|WARM AUDIO WA-2A
オプティカル|UAD TELETRONIX LA-2A
真空管|TAB/TELEFUNKEN U73b
FET|KLARK TEKNIK 76-KT
FET|UAD UNIVERSAL AUDIO LN1176 Rev E
Siemens U273
実際に聴くとコンプレッサー方式ごとに違いはあった
こうやって並べて聴くと、それぞれで変化の具合が結構違います。
今回のような2ミックス系の素材では、VCAと真空管が使いやすく感じました。
トータルコンプでこの2タイプをよく見かけるのも、聴いてみると納得する部分があります。
逆に今回使ったオプティカルとFETは、トラックへ使いたくなる音に感じます。
ただし、これはあくまで今回使った機材と素材での印象です。
オプティカルやFETでも、設計次第では2ミックスに絶大な力を発揮する機材があります。
結局全体の設計次第なんでしょうね。
こんな比較記事を書いてなんですが、コンプタイプだけで音を分けるって実はナンセンスなのかもしれません。
ハードとプラグインでも音の傾向は違った
ハードとプラグインの違いも面白いです。
あえて言葉にするなら、今回の比較ではプラグインの方が若干腰高な感じに聴こえます。
ハードの方がどしっとしています。
ただ、プラグインの方がパキッとしていて輪郭が綺麗だなとも感じます。
UADっぽい透明感も素敵です。
ここはどちらが上というより、音楽ジャンルや欲しい質感で好みが分かれそうです。メーカーが変われば、また印象も変わると思います。
個人的にはU73b実機のぬったり具合がやっぱり最高でした。
本当はステレオで組みたいですが、時代的にも金銭的にも2台揃えるのはかなり難しいコンプレッサーです。
結局コンプレッサーは回路方式だけでは決まらない
こうやって聴き比べるたびに思います。
何でもできる機材って、なかなかないんですよね。
ただ、何にでも使いたくなる機材はあります。
そういう自分だけの逸品を見つけるのは非常に骨が折れます。
音色や音の変化は、プラグインを含め一つ一つクセが違うので、結局ひたすら試して経験するしかありません。
とにかく自分の中にたくさんのデータを溜め込みたい。
そして最終的には無駄を省いて、精鋭だけを手元に置いておきたいです。
ロマンです。
今回は改めて手持ちの機材の音を知れて良かったです。
コンプレッサータイプ別イメージ
結局、タイプだけで分けても音は決まりません。
それでもオプトやFETには代表機種があり、それぞれの質感を自分の中でイメージできると、プラグインを素早く選ぶ時にも役立ちます。
うまく言えませんが、自分の中にあるフワッとしたタイプ別マップはこんな感じです。
- VCA→むっちりしたり、スパコーンしたりする
- オプティカル→柔らかなかかり
- 真空管→一番ぬったりして無段階な感じ
- FET→硬めなかかり
人それぞれで思い描くイメージは違うと思いますが、こんな感じです。
まとめ
VCA、オプティカル、真空管、FETを実機とプラグインで聴き比べると、それぞれに音の傾向は感じました。
ただ、比較していくほど「この方式だからこの音」と単純には分けられず、最終的には機材全体の設計や設定による部分が大きいと感じます。
ハードとプラグインにも違いはありましたが、どちらにも良さがあります。
タイプ名だけで決めるより、実際の音を聴きながら自分の中に感覚を溜めていくのが一番だと思います。