ボーカルを左右に広げたい時、メインボーカルそのものを無理に横へ動かす必要はありません。
主旋律はセンターに残したまま、ダブル、Delay、Reverb、Doublerなどで左右に別の成分を足すと、声の中心を保ったまま幅を作れます。
ただし、別テイクを左右へ置く方法と、短いDelayで時間差を作る方法、Reverbの空間を広げる方法では、同じ「広いボーカル」でも聞こえ方が違います。
まずメインをセンターで成立させ、その周囲へ必要な広がりだけを足していきます。
目次
ボーカルを広げてもメインはセンターに残せる
ボーカルを広げる時も、主旋律まで左右へ動かす必要はありません。
センターにメインを残し、その外側へ別の成分を置けば、歌詞の位置を保ったまま横幅を作れます。
主旋律はセンターに置くことが多い
メインボーカルをセンターへ置くと、声の中心を左右の中央へ固定できます。
歌詞や音程の基準を中央に残したまま、その周囲だけを広げる形を作れます。
広げるのはメインの周囲
左右へ足すものは、メインと別に録ったダブルでも、DelayやReverbのReturnでも構いません。
Dry Vocalを中心に残したまま別成分を横へ足すことで、センターの輪郭とステレオ幅を分けて作れます。
センターとサイドの役割を分ける
センターには、歌詞、音程、声の表情を担うメインを残します。
左右には、厚み、時間差、残響など、メインとは別の要素を足せます。
どの音も同じ役割で鳴らすのではなく、中央に残すものと外側へ置くものを分けます。
メインボーカルをそのままステレオ化しなくてもいい
ボーカルがモノラルで録音されていても、ミックスの中で横幅を作れます。
一本の録音に左右差がなくても、その周囲へ左右で異なる成分を足せばステレオ感は作れます。
モノラル録音でも広げられる
一本のボーカルをセンターへ置き、SendでStereo DelayやStereo Reverbへ送れば、中央の声とは別に左右の成分を作れます。
追加録音がなくても、メインを残したままステレオ感を足す方法はあります。
別成分を左右へ足す
横幅を作るには、左右で何かが違って聞こえる状態を作ります。
別テイク、時間差、Pitch差、異なる残響など、何を使うかによって左右差の質感も変わります。
Dry Vocalの輪郭を残す
広げるための成分を足しても、Dry Vocalまで小さくする必要はありません。
メインの言葉が中央ではっきり聞こえる状態を基準にして、その外側へ必要な量だけダブルやEffectを足します。
別テイクを左右へ置く方法
同じパートを複数回録音できるなら、別テイクを左右へ置く方法があります。
別々に歌ったテイクには、タイミング、ピッチ、発音、声色にわずかな差が残ります。その違いを左右へ分けることで、歌唱そのものに幅を作れます。
メインはセンターに残す
主旋律の中心になるテイクは、センターへ残します。
左右へダブルを足しても、歌詞や音程の基準はメインに任せられます。
ダブルを左右へ置く
メインとは別に録ったダブルを左右へ振ると、中央の声の外側へ歌唱成分を足せます。
少しだけ外へ置くことも、左右へ大きく振ることもできるので、必要な幅に合わせてPanを決めます。
左右を別テイクにする
左右へ一本ずつ置くなら、それぞれ別に歌ったテイクを使えます。
左と右に異なる歌唱差が残るため、同じテイクを複製しただけでは作れない左右差が生まれます。
歌唱差がステレオ幅になる
左右でタイミング、ピッチ、発音が少し違うと、二つのスピーカーから完全には同じ音が出なくなります。
その差が厚みや横幅として聞こえます。
ただし、ズレが大きすぎると幅ではなく別々の歌として聞こえるため、目立つ子音や語尾は必要に応じて整えます。
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ダブル1本だけでも左右へ広げられる?
メインのほかにダブルが一本しかなくても、片側へ配置することはできます。
ただし、左か右のどちらかにダブルを置けば、左右のボーカル成分は非対称になります。
メイン+片側ダブルでは左右非対称になる
センターにメイン、左にだけダブルを置けば、左側には追加の歌唱がありますが、右側にはありません。
そのため、ボーカル全体の重心が片側へ寄って聞こえることがあります。
狙いなら成立する
左右非対称だから間違いというわけではありません。
片側だけにダブルを置くこと自体をアレンジとして使うなら、その偏りも一つの聞かせ方になります。
左右へ均等に広げたいなら別成分を用意する
センターを基準に左右へ広がる形を作りたいなら、左右それぞれにダブルやEffect成分を用意できます。
左右に違いがあることで、中央のメインとは別の横幅が生まれます。
同じテイクを左右へコピーしただけでは広がらない
一本のボーカルを複製し、同じ信号を左と右へ同じ状態で置くだけでは、別テイクのような広がりは生まれません。
左右が同じ信号なら左右差がない
左右から同じ波形が同じタイミング、同じレベルで鳴っていれば、左右の情報に差がありません。
トラックを二本に増やしただけでは、ステレオ幅を作るための違いは増えていません。
同じレベルならセンターに定位して聞こえる
左右から同じ信号が同じ大きさで鳴ると、音は中央にあるように聞こえます。
メインを複製しただけでは、横へ広げるための左右差が作られていません。
広げるには左右へ差を作る
別テイクを使うほか、Delay Time、Pitch、Modulation、残響などで左右に違いを作る方法があります。
何を使って差を作るかで、広がりの聞こえ方も変わります。
短いDelayで左右差を作る方法
元のボーカルとは少し違う時間位置に音を置くと、左右差を作れます。
短いDelayなら、独立したEchoとしてではなく、元の声とまとまった厚みや幅として聞こえることがあります。
片側または左右へ時間差を作る
センターのDry Vocalに対して、左右のDelay Returnへ異なる時間差を作る方法があります。
左右が同じタイミングではなくなるため、中央とは別の広がりが生まれます。
短いDelayなら幅として聞こえることがある
Delay Timeが短いと、一回ずつの反復として分離するより、元の声と重なって厚みや幅として聞こえることがあります。
ただし、短ければ必ず自然に広がるわけではありません。元の声との重なり方によって、音色そのものも変わります。
長くするとEchoとして聞こえる
時間差を大きくしていくと、元の言葉とは別に遅れた声が聞こえてきます。
そこまで離れると、単純なStereo WidthよりDelay Effectとしての役割が強くなります。
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モノラル時の変化を確認する
同じ信号へ短い時間差を付けて重ねると、周波数ごとに強め合ったり弱め合ったりすることがあります。
ステレオでは広く聞こえていても、モノラルへまとめた時に音色や音量が大きく変わるなら、Delay TimeやEffect量を見直します。
Micro Pitchで左右へ広げる方法
左右へわずかなPitch差を作る方法もあります。
Dry Vocalはセンターに残し、その周囲へPitchを変えた成分を置くことで、時間差とは違う左右差を作れます。
左右へわずかなPitch差を作る
左右の成分へ異なるPitch処理を加えると、二つの側面が完全には同じ音でなくなります。
その違いをDry Vocalの周囲へ薄く混ぜることで、幅や厚みを加えられます。
Delay差と組み合わせる方法もある
Pitchだけでなく、左右へ異なるDelay Timeを加える方法もあります。
Pitch差と時間差の両方が加わるため、一本のコピーをそのまま左右へ置いた時より複雑な左右差を作れます。
広げすぎるとコーラス感が強くなる
Pitch差やModulationを大きくすると、横幅だけでなく音程の揺れまで聞こえやすくなります。
自然なメインボーカルを残したいなら、左右へ足した成分の揺れが主役にならないところまで下げます。
メインの音程感を壊さない
Pitch処理した成分が大きすぎると、センターの音程より左右の揺れの方が目立つことがあります。
メインを基準にして、外側の成分だけ必要な量まで足します。
Doubler系Pluginを使う
Doubler系Pluginを使えば、一本のボーカルから人工的な左右差を作れます。
追加録音がない場合でも使えるので、すでに録り終えたボーカルへ後から幅を足せます。
Delay・Pitch・Modulationで左右差を作る
Doubler系Pluginでは、Delay、Pitch、Modulationなどを使って、元の声とは少し違う成分を作ります。
それを左右へ配置することで、センターのDry Vocalとは別のステレオ成分を加えられます。
追加録音なしでも使える
別テイクがなくても、元の一本から横幅を作れます。
録り直しができない時だけでなく、実際のダブルとは違う加工感を狙う時にも使えます。
別テイクとは質感が違う
別テイクでは、発音、声色、タイミング、ピッチの動きそのものが毎回変わります。
Doublerでは、一つの録音から処理によって差を作ります。
歌唱そのものを重ねたいのか、録音後に人工的な幅を足したいのかで役割を分けます。
Effect量を上げすぎない
Doublerの成分を大きくするほど、PitchやTimingの違いもはっきり聞こえてきます。
メインの輪郭がぼやけ始めるなら、さらに広げる前にEffect側の量を戻します。
Chorusで広げる方法
Chorusも、ボーカルへ厚みや広がりを加えられるEffectです。
時間やPitchが変化する成分を元の声へ混ぜることで、固定したダブルとは違う揺れを作れます。
揺れを使って厚みと幅を作る
左右で異なる変化を持つChorusを使えば、ボーカルの周囲に動きのあるステレオ成分を足せます。
別テイクや固定したDelayとは違い、時間とともに左右差も変化します。
かけすぎると揺れが前へ出る
DepthやMixを上げるほど、広がりだけでなくPitchの揺れやEffect感も強くなります。
メインボーカルを自然に残したい場合は、Chorus自体が目立ち始めるところまで上げないようにします。
Sendで薄く混ぜる方法もある
メインへ直接強くInsertするのではなく、Sendで別のChorus Returnを作って薄く混ぜる方法もあります。
Dry Vocalの芯を残したまま、Effect成分だけを周囲へ足せます。
Delay Returnだけを左右へ広げる
ボーカル本体ではなく、Delayだけを左右へ広げる方法もあります。
Dry Vocalをセンターへ固定したまま、反復だけを外側へ置けます。
Dry Vocalはセンターのまま
メインボーカルは中央でそのまま鳴らします。
DelayはSendで別Returnへ送り、メインとは独立して横幅を作ります。
DelayだけをL/Rへ配置する
左右へ異なるDelayを置けば、Dry Vocalの周囲に時間差のある成分を作れます。
メインの音量を下げなくても、外側へ動きを足せます。
Ping Pong Delayを使う方法
Ping Pong Delayでは、反復が左右を移動するような聞こえ方を作れます。
センターの歌詞を残したまま、語尾やフレーズの隙間へ左右の動きを加えられます。
歌の隙間へ広がりを出す
Delayが歌唱中に大きく鳴り続けると、メインの言葉と反復が重なります。
Feedback、Send量、Ducking、Automationなどを使い、必要な場所だけ反復を聞かせる方法があります。
Reverb Returnをステレオで広げる
ボーカルの横幅は、歌唱そのものではなく残響でも作れます。
Dry Vocalをセンターに残し、Stereo ReverbのReturnを周囲へ広げれば、声の位置を大きく変えずに空間を作れます。
Dry Vocalは中央へ残す
メインボーカル自体はセンターのままにします。
直接音の位置を保ったまま、反射や残響だけを左右へ足せます。
残響だけ外側へ広げる
Stereo Reverbでは、左右に異なる反射や残響成分を持つ空間を作れます。
メイン一本の録音でも、その周囲へステレオの空間を足せます。
Early Reflectionと残響の広がり
Reverbでは、最初の反射とその後に続く残響によって空間の聞こえ方が変わります。
Pluginによっては、Stereo WidthやEarly Reflectionの広がりを個別に調整できます。
Reverbを増やしすぎると声が遠くなる
広げたいからとReverb Sendを増やし続けると、横幅だけでなく残響量そのものも増えます。
残響が大きくなりすぎるとDry Vocalの輪郭が弱くなり、声が後ろへ下がって聞こえることがあります。
ダブル・Delay・Reverbは全部同じ役割ではない
どれもボーカルを広く聞かせられますが、何が横へ広がっているのかは違います。
ダブルは歌唱そのものの幅
別テイクを左右へ置けば、歌っている声そのものが左右へ増えます。
メイン一本とは違う歌唱差が加わるため、厚みと幅を一緒に作れます。
Delayは時間差による幅
Delayでは、元の声とは違う時間位置に反復や複製成分を作ります。
短ければ元の声とまとまり、長くなれば独立した反復として聞こえてきます。
Reverbは空間の幅
Reverbで広げているのは、主に声の周囲へ加わる反射や残響です。
Dry Vocalの位置を変えずに、声の周囲の空間を広く聞かせられます。
必要なものだけ組み合わせる
ダブル、Delay、Reverbを全部使う必要はありません。
歌唱自体を広げたいのか、時間差を足したいのか、空間だけ広げたいのかで使うものを分けます。
ハモリを左右へ置いて広げる方法
メインとは違う音程を歌うハモリを左右へ置けば、ボーカルセクション全体の幅を広げられます。
ただし、これはメインボーカルそのものを広げる処理とは役割が違います。
メインとは違う音程を外側へ置く
主旋律はセンターに残し、ハモリを左右へ配置すると、外側へ別の音程成分が加わります。
センターの主旋律を残しながら、コード感と横幅を一緒に増やせます。
ハモリが広がるとボーカル全体も広く聞こえる
メイン一本の定位は変わっていなくても、周囲のハモリが左右へ広がれば、ボーカル全体は広く聞こえます。
主旋律を広げる処理とは分ける
ハモリはメインとは違う音程を持つため、同じメロディを重ねるダブリングとは役割が違います。
横幅を作る方法としては使えても、メインボーカルそのものの厚みとは分けて考えます。
サビだけ広げる方法
ボーカルは曲中ずっと同じ幅にする必要はありません。
Aメロではセンター中心にして、サビでダブルやStereo Effectを足せば、幅の変化そのものを曲の展開に使えます。
Aメロはセンター中心
Aメロではメイン一本を中心に置き、Effectも少なくして近い声を作れます。
最初の横幅を抑えておけば、その後に広げた時の差も出ます。
サビでダブルやStereo Effectを足す
サビへ入ったところで、左右のダブル、Doubler、Stereo Delay、Reverbなどを追加できます。
メインの音量だけを上げなくても、ボーカル全体の大きさや広がりを変えられます。
幅の差そのものをアレンジにする
最初から大きく広げていると、曲中でさらに横幅を増やしても変化が出にくくなります。
狭い場所と広い場所を作ることで、サビへ入った時の変化にも使えます。
フレーズの最後だけ広げる方法
曲の一部だけを広げるなら、Effect Sendをオートメーションで動かせます。
常に広げるのではなく、特定の言葉や語尾だけ横へ開く方法です。
Delay Throwを使う
フレーズの最後だけDelay Sendを上げると、その言葉だけ左右へ反復を出せます。
歌唱中はセンターを保ち、言葉の後にできた隙間へDelayを出せます。
語尾だけDoublerを増やす
DoublerのSendやReturnをオートメーションすれば、特定の語尾だけ広げることもできます。
曲中ずっとEffectを聞かせず、強調したい場所だけ使えます。
AutomationでEffect Sendを動かす
Delay、Reverb、DoublerなどのSend量は、曲のセクションや言葉ごとに変えられます。
横幅を固定せず、曲の展開に合わせて変化させられます。
ボーカルを広げすぎると何が起きる?
広いボーカルが、いつでも良いわけではありません。
外側の成分を増やしすぎると、中央に残したかった主旋律の輪郭まで弱く感じることがあります。
センターの輪郭が弱くなる
左右のダブルやEffectがメインと同じくらい大きくなると、中央の一本だけを追いにくくなります。
横幅は増えても、主旋律の位置が曖昧になることがあります。
歌詞がぼやける
左右にタイミングの違う声やDelayが多くなると、同じ言葉が複数の時間位置から聞こえます。
幅は増えても、子音や語尾が重なって歌詞の輪郭が弱くなることがあります。
左右のEffectばかり聞こえる
Dry VocalよりDoublerやReverb、Delayの方が目立つと、加工された外側の音が前へ出ます。
Effectをミュートした時にメインが急に弱く感じるなら、Dry Vocalとのバランスも確認します。
モノラルで音色が変わる
短いDelayや位相差を使って広げている場合、左右をモノラルへまとめた時に強め合いや打ち消しが起こることがあります。
ステレオだけで判断せず、モノラルへ切り替えた時のメインボーカルも確認します。
広げたらボーカルが薄くなる原因
ボーカルを広げたのに、厚くなるのではなく薄く聞こえることがあります。
横幅と太さは同じではないため、左右へ音を増やしてもセンターの密度が減れば細く感じます。
Dry Vocalまで下げすぎている
Stereo Effectを聞かせるためにDry Vocalを大きく下げると、中央にあった声の土台まで弱くなります。
センターを残したいなら、まずDry Vocalを基準にします。
サイド成分だけ増やしている
左右の高域や残響だけが増えても、声の中心にある成分まで増えるわけではありません。
横には広がっているのに、声そのものは軽く聞こえることがあります。
位相差で一部の帯域が弱くなっている
同じ信号へ時間差や位相差を作る処理では、重ねた時に特定の帯域が弱くなることがあります。
広げる前より声の芯が減ったなら、一度Effectをバイパスして比較します。
高域成分だけが外へ広がっている
ChorusやReverbなどで高域側の成分ばかりが外へ目立つと、全体の重心が上へ寄ったように聞こえることがあります。
幅が増えたことと、声が太くなったことは分けて判断します。
位相とモノラル互換を確認する
人工的にStereo Widthを作る時は、位相とモノラル時の変化も確認します。
同一信号の短いDelayはComb Filteringを起こし得る
元の信号と少し遅れた同じ信号を重ねると、周波数によって強め合ったり弱め合ったりします。
その結果、元のボーカルとは違う周波数バランスになることがあります。
片側の極性反転を使った広げ方は注意する
片側の極性を反転するなど、左右へ大きな差を作ると広く聞こえる場合があります。
ただし、左右を足し合わせた時に大きく打ち消されることがあるため、安易な広げ方としては使いません。
Correlation Meterだけで決めない
Correlation Meterを使えば、左右の相関を見る手掛かりになります。
ただ、数値だけで実際の聞こえ方までは決まりません。
Meterは確認材料として使い、音色、音量、センターの残り方も一緒に聴きます。
最後はモノラルで実際に聞く
ステレオで広く聞こえていても、左右を一つへまとめた時にメインが急に細くなることがあります。
モノラルに切り替え、歌詞、音量、音色が大きく崩れていないかを確認します。
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M/S処理でボーカルを広げる場合
M/S処理でSide成分を調整し、ステレオ幅を変える方法もあります。
ただし、センターにあるモノラルのメイン一本だけをそのまま処理しても、最初から左右差のあるSide成分が存在するわけではありません。
Stereo素材やStereo Returnに使う
ダブルを左右へ置いたStereo Busや、Stereo Reverb、Stereo Delayなどには左右差があります。
その素材へM/S EQなどを使い、左右に共通するMid成分と、左右差にあたるSide成分を別に整える方法があります。
Sideを上げれば必ず自然に広がるわけではない
Side成分を上げれば外側の音は大きくなりますが、それだけで自然な幅になるとは限りません。
外側だけが大きくなりすぎれば、センターとのバランスが崩れます。
モノラルのメイン一本にはSide成分がない
同じモノラル信号が左右へ同じように入っている状態なら、M/Sでは基本的にMid成分として扱われます。
まず左右差のある素材を作り、その後で必要ならM/S処理を使います。
センターを残したまま広げる基本的な組み方
ボーカルを広げる時は、役割ごとにレイヤーを分けると整理できます。
- Center:Main Vocal
- L/R:必要なら別テイクのDouble
- L/R:必要ならShort DelayやMicro Pitch
- Stereo:ReverbやDelay Return
このすべてを同時に使う必要はありません。
メイン一本で十分なら空間だけを広げることもできます。サビだけ厚くしたいなら、そこでダブルを足すこともできます。
センターに何を残し、横へ何を足すかを先に決めると、Effectを増やしすぎずに済みます。
ボーカルを左右に広げる時の確認順
ボーカルを広げる時は、最初からStereo Widthを大きくするのではなく、センターを基準に必要な幅だけ足します。
- まずメインボーカルをセンターで成立させる
- 曲の中でどのくらい横幅が必要か決める
- 別テイクがあるならダブルを左右へ置いてみる
- 追加録音がなければDoublerやMicro Pitchを試す
- 必要なら短いDelayで左右差を足す
- ReverbやDelay Returnだけを広げる方法も試す
- Dry Vocalの輪郭や音量が弱くなっていないか確認する
- 曲中ずっとではなく、サビやフレーズだけ広げる方法も考える
- モノラルにした時に音色や音量が大きく崩れないか確認する
- 最後に広げた状態とセンター中心の状態を比較する
ボーカルを左右へ広げる時は、メインのセンターを壊す必要はありません。
主旋律を中央へ残し、その周囲へ別テイク、Delay、Pitch差、Reverbなどで左右差を作れば、歌詞の位置を保ったまま横幅を出せます。歌唱そのものを広げたいのか、時間差を足したいのか、空間を広げたいのかを分けると、必要な処理も決めやすくなります。
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