ミックスをモノラルで確認するのは、
ステレオでは左右の位置で分かれて聴こえていた音を一つにまとめることで、音量バランス、帯域の重なり、位相差の影響を確認しやすくなるからです。
特に、パンやステレオ処理で広がりを作ったあとに、主要な音が大きく崩れていないかを見る時に使えます。
目次
ミックスをモノラルで確認する理由は何?
ステレオでは、左にある音と右にある音を位置の違いで聞き分けられます。
モノラルにすると左右の信号が一つにまとめられ、左右の定位差がなくなります。
その状態にすると、パンによって分離していた音や、左右の位相差で変化する音を確認できます。
モノラルにすると左右の定位差がなくなる
ステレオでは、同じような帯域を使う楽器でも左右へ離せば聞き分けやすくなります。
モノラルではその位置差がなくなるため、複数の音が同じ方向から聴こえる状態でバランスを確認できます。
パンで分かれていた音が同じ場所へ集まる
左右へ振ったギターや鍵盤、コーラスなどは、ステレオでは位置の違いによって分離して聴こえます。
モノラルにするとその位置差がなくなるため、音量や帯域が近い音同士の重なりが分かりやすくなります。
この状態で主要な音が急に埋もれるなら、ステレオ時の定位差に分離を大きく頼っていなかったかを確認します。
音量バランスの問題を確認しやすくなる
ステレオでは左右の位置差があるため、少し小さい音でも聞き取りやすいことがあります。
モノラルにした時に主役の音が埋もれるなら、その音自体のレベルや周囲との関係を確認します。
メインボーカル、キック、ベースなど、曲の中心になる音が他の音に隠れていないかを見る時にも使えます。
ステレオでは気づきにくい帯域の重なりを確認する
左右へ離れている音は、似た周波数を使っていてもステレオでは別々に聴き取りやすくなります。
モノラルでは位置差がなくなるため、帯域の近い音同士がどこで重なっているかを確認しやすくなります。
ボーカルと楽器が埋もれていないか
例えば、中央のボーカルと左右へ置いたギターが同じ中域を強く使っている場合、ステレオでは位置の違いによってある程度聞き分けられます。
モノラルにした時だけボーカルが大きく埋もれるなら、ギターとの音量や帯域の関係を確認します。
必要ならフェーダーやEQへ戻り、パンを外した状態でも主役が必要なだけ残るかを見ます。
パンだけで分離していた音を確認する
左右へ離したことで聞き分けられていた二つの音も、モノラルでは同じ方向から聴こえます。
その時に一方がほとんど聞こえなくなるなら、音量、帯域、音色、タイミングのどこで差を作れるかを確認します。
すべての音をモノラルでも完全に分離させる必要はありません。曲の中心になる音や、残したいパートが大きく崩れていないかを見ます。
モノラルで音が小さくなる時は位相差を見る
モノラルにした時に、特定の音だけが大きく小さくなる、細くなる、音色が大きく変わる場合は、左右の位相差を確認します。
左右に共通する成分があっても、時間や位相がずれていれば、モノラルへまとめた時の結果は変わります。
左右の信号を加算すると打ち消しが起こることがある
モノラルでは左右の信号が加算されます。
左右に位相差がある成分は、加算した時に周波数によって強め合ったり打ち消し合ったりします。
ステレオでは広く聴こえていた音が、モノラルで急に痩せるなら、左右差を作っている処理を確認します。
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ショートディレイやステレオ処理を確認する
片側へ短いディレイを加える広げ方や、位相差を使うステレオ処理では、左右の時間差や位相差そのものが広がりにつながっています。
モノラルへまとめると元の信号とずれた信号が重なるため、音量や音色が変わることがあります。
処理をバイパスすると変化が小さくなるなら、そのステレオ処理がモノラル時の変化に関わっています。
左右差を作る処理はモノラルでも確認する
時間差、ピッチ差、位相差などを使って左右の違いを作る処理では、ステレオ時の広がりだけでなく、左右をまとめた時の変化も確認します。
ダブリング
別テイクを左右へ振るダブルトラックでは、それぞれの演奏差が残るため、左右に違う情報があります。
一方、同じテイクを複製し、片側の時間やピッチをずらして広げている場合は、モノラルにした時の音量や音色の変化も確認します。
コーラス
コーラスは、元の信号へ時間やピッチが変化する信号を重ねて厚みや広がりを作ります。
ステレオでは広く聴こえていても、左右をまとめることで質感や音量が変わることがあります。
ステレオイメージャー
ステレオイメージャーを使って幅を広げた場合も、処理前後とモノラル時を比較します。
広げた結果として、モノラルで主要な音が大きく痩せたり音色が変わったりするなら、処理量を見直します。
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M/S処理
M/S処理では、左右に共通する成分と左右差の成分を分けて調整できます。
Side側を強くすれば左右差は大きくなりますが、Midとのバランスも変わります。
Side側を大きくするとステレオでは広がりが増えますが、モノラルではSide成分が残らないため、Mid側に残る音とのバランスも確認します。
モノラルでステレオと同じバランスにする必要はない
モノラルにすると、ステレオ時とまったく同じ聴こえ方にはなりません。
左右へ振った音や、左右差のあるステレオ素材は、モノラルへまとめることで存在感や音色が変わることがあります。
その変化をすべてなくそうとすると、ステレオで必要な広がりまで失います。
ステレオとモノラルでは聴こえ方が変わる
ステレオでは左右の位置も音を聞き分ける手掛かりになります。
モノラルではその手掛かりがなくなるため、同じミックスでも各音の存在感は変わります。
モノラルとステレオを同じ状態へそろえるのではなく、何がどの程度変わったかを確認します。
主要な音が大きく崩れないかを見る
確認したいのは、ボーカルがほとんど聞こえなくなる、ベースが急に細くなる、広げた楽器の音色が大きく変わるといった変化です。
少し聴こえ方が変わること自体を問題にせず、曲の中心になる音や重要なパートが大きく崩れていないかを見ます。
モノラルだけでミックスを完成させない
モノラル確認は便利ですが、最終的なステレオミックスの代わりではありません。
左右の配置や広がり、空間の大きさは、ステレオへ戻して確認します。
最終判断はステレオへ戻す
モノラルで問題を見つけて調整したら、ステレオへ戻します。
モノラルで主役が聞き取りやすくなっても、ステレオへ戻した時に広がりや前後感まで失っていれば、その調整量を見直します。
最終的には、狙っているステレオの状態で判断します。
モノラルは問題を見つける確認手段として使う
モノラルにする目的は、すべての音を中央で綺麗に聞かせることではありません。
パンによる位置差がなくなった時に何が埋もれるか、左右を加算した時に何が変わるかを確認し、その原因を元のミックスへ戻って調整します。
モノラル確認はミックスの途中でも使える
モノラル確認は最後に一度だけ行うものではありません。バランスやステレオ処理を変えた時に、その都度切り替えて確認できます。
フェーダーバランスを作った後
大まかな音量バランスを作った段階でモノラルにすると、主要な音が他のトラックに埋もれていないかを確認できます。
パンやステレオ処理を加えた後
左右へ配置したり、ステレオ幅を広げたりした後は、モノラルへ戻して主要な音の変化を確認します。
特に時間差や位相差を使った処理では、ステレオ時だけで判断しません。
空間系を加えた後
ステレオリバーブやディレイを加えた後も、モノラルへまとめた時に主要な音が埋もれていないかを確認できます。
残響や反復音が重なった時に中域が濁るなら、空間系のレベルやEQまで戻ります。
最終確認
ミックスの最後にもモノラルへ切り替え、主要な音が極端に崩れていないかを確認します。
問題がなければステレオへ戻し、広がり、定位、前後感まで含めて最終判断します。
モノラルで確認する時の順番
どこを見ればいいか分からない時は、曲の中心になる音から確認します。
ボーカル・キック・ベースなど主要な音
まず、曲の中心になる音が大きく埋もれたり、音色が極端に変わったりしていないかを確認します。
楽器同士の音量と帯域
次に、パンで離していた楽器同士が重なった時に、どちらかが極端に聞こえにくくなっていないかを見ます。
位相差を使った処理
ショートディレイ、コーラス、ステレオイメージャーなどを使っているなら、処理前後でモノラル時の音量や音色がどう変わるかを確認します。
ステレオへ戻した時の広がり
モノラルで調整した後はステレオへ戻し、必要な左右差や空間まで失っていないかを確認します。
モノラル確認はステレオミックスの問題を切り分けるために使う
モノラル確認で見るのは、モノラルでもステレオと同じように聴こえるかではありません。
左右の定位差をなくした時にどの音が埋もれるか。左右の信号をまとめた時に、どの音の音量や音色が変わるか。そこから音量、帯域、位相、ステレオ処理のどこに原因があるかを切り分けます。
そこで見つけた問題を調整し、最後はステレオへ戻して、定位と広がりを含めたミックス全体で判断します。
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