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ボーカルのピッチ補正のやり方|自然に音程を整える基本

ボーカルのピッチ補正は、音程を全部まっすぐに揃える作業ではありません。

歌には、しゃくり、フォール、ビブラートなど、もともとPitchが動く部分があります。そこまで固定すると、音程は揃っていても元の歌い方とは違って聞こえることがあります。

僕は元のニュアンスをできるだけ残しながら、低く聞こえる音は少し上げる、高く聞こえる音は少し下げるという形で、必要なところだけ直しています。

自然に聞こえている部分は、無理に動かしません。ピッチ補正は元の音声を解析して処理するため、必要のないところまで補正するほど、元の声から離れる範囲も増えます。

画面上の音程だけを正解にせず、最後はオケと一緒に聞いて自然かどうかで判断します。

目次

ボーカルのピッチ補正は何を直す作業?

ピッチ補正で直すのは、Pitchが動いていることそのものではありません。

曲の中で聞いた時に、狙った音程より低い、高い、一部だけ外れていると感じる場所を整えます。

音程の中心が低い・高い

一つの音を伸ばしていても、Pitchは細かく上下しています。

その動きを残したまま、全体として低く聞こえるなら少し上へ、高く聞こえるなら少し下へ動かします。

一部の音だけ外れている

フレーズ全体は自然でも、一音だけコードやメロディの中で外れて聞こえることがあります。

その場合は、ボーカル全体を強く補正するより、気になる音だけ直した方が元の歌唱を残せます。

ロングトーンの途中でずれる

伸ばしている途中で少しずつPitchが下がったり、逆に上ずったりすることもあります。

ここでもビブラートまで消すのではなく、音程の中心がどちらへ動いているかを確認します。

ピッチ補正は全部の音を真っ直ぐにしなくていい

Pitchカーブを見ると、歌声はかなり細かく上下しています。

それを全部平らにすれば正確になるように見えますが、その動きの中には歌唱表現も含まれています。

歌にはもともとPitchの動きがある

歌声は、一つの音程へ瞬間的に固定され続けるわけではありません。

音へ入るまでの動き、伸ばしている途中の揺れ、語尾の落ち方まで含めて一つのフレーズになっています。

真っ直ぐにしすぎると元の歌い方が消える

Pitchカーブを強く平らにすると、音程は安定しても、しゃくりやビブラートまで小さくなります。

自然な歌を残したいなら、Pitchの動き全部を修正対象にはしません。

しゃくりはしゃくりのまま残していい

しゃくりでは、目的の音より下から入り、その後に狙ったPitchへ上がっていきます。

画面だけを見ると、最初の部分は目的音から外れていますが、その動き自体が歌い方です。

最初から目的音へ固定しない

しゃくりの開始部分をそのまま目的音へ持ち上げると、元の入り方がなくなります。

しゃくりとして自然に聞こえているなら、その形は残します。

着地した後の音程を見る

見るのは、しゃくっていることではなく、目的音へ入った後も全体として低い、高いと感じるかです。

僕もWaves Tuneでは、しゃくりを平らにするより、その形を残したまま必要な分だけ上下へ動かしています。

フォールや語尾のPitchも全部直さない

語尾で音程を落とすフォールも、Pitchカーブだけを見ると目的音から外れていきます。

それが意図した歌い方として成立しているなら、元の音程へ戻す必要はありません。

語尾の動きとして聞こえているなら残す

フォールによって言葉が自然に終わっているなら、その動きまで含めて一つのフレーズです。

狙った表現よりも、途中から音程が崩れたように聞こえる場合は、その範囲だけ整えます。

ビブラートはどこまで残す?

ビブラートは、Pitchが周期的に上下する歌唱表現です。

画面上で一本の線から外れているからといって、その揺れを全部消す必要はありません。

Pitchの中心と揺れを分ける

確認するのは、ビブラートしていることではなく、その揺れ全体の中心が狙った音程からずれて聞こえていないかです。

中心だけ低く感じるなら、ビブラートの形を残したまま全体を少し上へ動かせます。

揺れを消せば声の表情も変わる

ビブラートの幅まで強く抑えると、Pitchは一定に近づきますが、元の声の動きも変わります。

その質感を狙っている場合を除き、自然に聞こえている揺れは残します。

音の入りだけPitchが不安定な時

歌い出しでは、最初から目的音へ完全に入らず、そこへ向かってPitchが動くことがあります。

この部分も、画面上で目的音から外れているだけでは補正する理由になりません。

どこへ着地しているかを見る

入りの瞬間だけではなく、その後にどこへ着地しているかを聞きます。

自然に目的音へ入っているなら、その途中のPitch変化は残せます。

ロングトーンのPitchを補正する

長く伸ばす音では、歌っている途中でPitchの中心が少しずつ動くことがあります。

途中から下がっていく

最初は合っていても、後半へ進むにつれて低く聞こえてくることがあります。

その変化が曲の中で気になるなら、後半だけ少し持ち上げます。

途中から上ずる

逆に、伸ばしている途中から高く聞こえてくることもあります。

必要ならその範囲だけ下げ、ビブラートなどの細かな動きは残します。

Keyとコード進行を確認する

自動ピッチ補正を使う場合は、曲のKeyやScaleを正しく設定することが基本です。

ただし、Scaleに含まれない音がすべて間違いとは限りません。

Scale外の音も曲の中では使われる

経過音や一時的なコードの変化などによって、基本Scaleの外にある音が使われることがあります。

Plugin上でScaleから外れていても、伴奏の中で成立しているなら無理に戻しません。

画面上では音程が合っているのに変に聞こえることがある

ピッチ補正をしていると、画面上では音程の中心に入っているのに、耳では少し高い、低いと感じることがあります。

こういう時は、表示だけを見て「合っているからこれでいい」とは決めません。

同じ音程でも声の響き方で聞こえ方は変わる

同じAの音でも、発声や声の響き方が変われば、聞こえる音色は大きく変わります。

鼻側に強く響く声、厚く響く声、喉の奥へ響くような声などでは、基本の音程が同じでも倍音や響き方が違います。

その違いによって、耳には少し高く感じたり、低く感じたりすることがあります。

Pitch表示と耳の感覚が完全一致しないこともある

ピッチ補正ソフトは声を解析してPitchを表示しますが、人が感じる音程感には倍音や声の響き方も影響します。

そのため、解析上は狙った位置に入っていても、実際に曲の中で聞くと少し高い、低いと感じることがあります。

画面と耳が違う時は実際の聞こえ方を優先する

Pitchの画面は、低い、高い場所を探すためにはかなり便利です。

ただ、画面上で中央に入っていることと、曲の中で気持ちよく聞こえることは同じではありません。

少し動かした方が自然なこともある

表示上では合っていても、少し下げた方が伴奏へ馴染む、逆に少し上げた方が自然に聞こえることがあります。

僕は画面と耳の判断が食い違った時は、最終的には実際に聞こえている方を基準にしています。

必要ない部分にはピッチ補正をかけない

ピッチ補正Pluginを使っていても、曲の最初から最後まで全部の音を動かす必要はありません。

自然に歌えていて、オケの中でも違和感がない部分なら、そのまま残すことも判断の一つです。

処理しない場所を残す

ピッチ補正は、元の音声を解析してPitchを動かす処理です。

現在のPluginは高品質ですが、Pitchを動かせば元の波形には処理が加わります。特に補正量が大きいほど、声の質感、子音、細かな揺れが変わることがあります。

問題なく聞こえている音まで触らず、必要な場所だけ処理すれば、元の録り音を残せます。

大きく直した場所ほど音も確認する

半音近く動かす、Pitchの形そのものを大きく変えるなど、元の歌唱から離れる補正ほど処理後の変化も確認します。

音程が合ったかだけでなく、声の質感まで含めて補正前と比較します。

自動ピッチ補正と手動補正の違い

ピッチ補正には、自動で音程を近づける方法と、画面を見ながら音ごとに手動で直す方法があります。

自動補正は設定した音程へ近づける

KeyやScaleなどを設定し、入力されたPitchを設定に応じて補正します。

自然な補正にも使えますし、強く速い補正によってケロった質感そのものを表現として使うこともできます。

手動補正は必要な音だけ動かせる

手動補正なら、一つの音だけ少し上げる、ロングトーンの後半だけ直すといった処理ができます。

元のニュアンスを残しながら、外れて聞こえる部分だけ整える時にも使えます。

自動補正を強くするとケロった声になることがある

自動補正では、元のPitchを目的の音程へどれくらい速く、強く近づけるかによって聞こえ方が変わります。

補正を強くすると、外れた音だけではなく、本来残っていたPitchの移動まで短時間で変化します。

しゃくりやビブラートまで変わる

補正が強ければ、しゃくりやビブラートなどの動きも目的Pitchへ強く寄ります。

その結果、自然な歌より機械的なPitch変化として聞こえることがあります。

逆に、その音を狙っている場合は強い補正も表現の一つです。

Waves Tuneで手動補正する場合

僕はボーカルのピッチ補正にWaves Tuneを使っています。

特別な方法ではなく、表示されたPitchカーブを見ながら、曲の中で気になる音だけを動かしています。

元のPitchカーブを残したまま上下へ動かす

一つの音が全体として低く聞こえるなら、しゃくりやビブラートの形を残したまま少し上へ動かします。

逆に高く感じるなら、その形のまま少し下げます。

線を真っ直ぐにしすぎない

Pitchカーブをきれいな直線へしすぎると、元の歌唱ニュアンスまで減ります。

しゃくりはしゃくり、ビブラートはビブラートとして残し、その状態でPitchの中心を必要な分だけ動かします。

画面上で合っていても耳で違えば調整する

Waves Tune上では音程の中央へ入っていても、オケと一緒に聞くと少し気持ち悪く感じることがあります。

その時は表示をそのまま正解にせず、実際に聞きながら少し動かして決めています。

Melodyneなど他のPitch Editorでも考え方は変わらない

Waves Tune以外にも、Melodyneなど音程を手動で編集できるPluginがあります。

製品によってPitchの表示方法や編集できる項目は違いますが、すべての音を中央へ固定する必要はありません。

どのPluginでも、元の歌唱をどこまで残し、どこを直すのかを先に決めます。

タイミング補正とピッチ補正はどちらが先?

タイミング補正とピッチ補正の順番に、絶対の決まりがあるわけではありません。

ただ、大きくタイミングを直す必要があるなら、先にフレーズの位置を整えてからPitchを見る方法があります。

僕はタイミングを先に直すことが多い

僕の場合は、歌い出しや語尾などのタイミングを先に整えてから、ピッチ補正へ進むことが多いです。

フレーズの位置を決めた後で、その状態の声に対してPitchを直していきます。

大きな編集を先に済ませる

後からフレーズ全体を前後へ動かす、Time Stretchで長さを変えるといった編集が必要なら、先に済ませておくと、その後のPitchを判断しやすくなります。

ボーカルのタイミング補正をどこまで行うかはこちら👇

ダブルのピッチはメインとどこまで揃える?

ダブルも、メインと完全に同じPitchへ揃える必要はありません。

別テイクに残る細かなPitch差は、タイミングや声色の違いと一緒に厚みを作っています。

外れて目立つ音を直す

メインと重ねた時に一音だけ外れて聞こえるなら、その部分を整えます。

自然に重なっている場所まで全部メインへ揃える必要はありません。

別テイクを重ねて声を厚くする方法はこちら👇

ハモリのピッチ補正はメインと違う

ハモリは最初からメインとは違う音程を歌っているため、メインと同じPitchへ揃えるものではありません。

ハモリとして狙った音程と、伴奏のコードとの関係を確認します。

ハモリとして外れて聞こえる場所を直す

音程が違うこと自体は問題ではありません。

ハモリとして狙った位置から外れて聞こえる、コードの中で不自然に聞こえる場所だけを整えます。

ハモリをメインボーカルに馴染ませる方法はこちら👇

ピッチ補正で不自然になる原因

補正後に歌が不自然に聞こえる時は、音程を正しくしたことより、元の動きをどこまで変えたかを確認します。

全部の音をPitchの中心へ固定している

すべてのノートを一本の線へ近づけると、しゃくり、フォール、ビブラートまで小さくなります。

必要のない音まで補正している

問題なく聞こえている場所まで動かせば、元の歌唱から変わる範囲も増えます。

補正Pluginを使っているから全部直すのではなく、直さない場所を残すこともピッチ補正の判断です。

画面だけで判断している

Pitch表示が中央に入っていることだけを基準にすると、耳では違和感のある状態をそのまま残すことがあります。

最後は曲の中で聞き、補正前より自然になったかを比較します。

ピッチ補正はソロだけで決めない

ボーカルだけをソロで聞くと、細かなPitchのズレまで目立ちます。

ただ、その差がオケの中では問題なく聞こえていることもあります。

コードや伴奏と一緒に聞く

歌のPitchは、単体の数値だけでなく、コード、ベース、ほかの楽器との関係でも聞こえます。

画面上では少し外れていても、曲の中で自然に聞こえるなら、その位置を残す判断もできます。

ボーカルのピッチを補正する確認順

ピッチ補正では、最初からすべてのPitchカーブを触るのではなく、曲の中で気になる場所から確認します。

  1. 大きなタイミングのズレがあれば先に確認する
  2. 曲のKeyとコード進行を確認する
  3. ボーカルをオケ込みで聞く
  4. 明らかに高い・低い音を探す
  5. しゃくり、フォール、ビブラートなど歌唱表現なのかを分ける
  6. 必要な音だけPitchの中心を上下へ動かす
  7. 元のPitchカーブや歌唱ニュアンスを残す
  8. ロングトーンの途中でPitchの中心が動いていないか確認する
  9. ダブルやハモリは重ねた時に目立つ音だけ整える
  10. 必要のない部分は補正せず残す
  11. 画面上で合っていても耳で違和感があれば微調整する
  12. 最後に補正前と補正後をオケ込みで比較する

ボーカルのピッチ補正は、歌を正しい線へ固定する作業ではありません。

しゃくり、フォール、ビブラートなど元の歌い方は残し、その中で曲から外れて聞こえる音だけを整えます。必要のない場所には無理に処理を加えず、画面と耳の判断が違う時は実際の聞こえ方を優先します。

ボーカルミックス全体の流れと基本はこちら👇

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