ハモリがメインボーカルから浮いて聞こえる時、最初からEQを大きく変える必要はありません。
音量が少し大きいだけで前へ出ていたり、子音だけが強く聞こえていたり、メインとのタイミング差が目立っていたりすることがあります。
ハモリは単体で存在感を作るより、メインボーカルを中心に残したまま、その周囲へ別の音程を足すものとして考えると整理しやすくなります。
まずフェーダーで位置を決めます。それでも馴染まないところを、EQ、コンプ、タイミング、ピッチ、Pan、空間処理へ分けていきます。
目次
ハモリはメインボーカルより目立たせなくても成立する
メインボーカルとハモリは、同じ音量、同じ明るさ、同じ前後位置で鳴らす必要はありません。
主旋律を中心にしたいなら、まずメインが自然に聞こえる状態を作り、その後からハモリを足します。
主旋律はメインに残す
ハモリを加えた瞬間に、どちらが主旋律なのか分かりにくくなることがあります。
その場合は、ハモリを良い音にする前に、メインより前へ出ていないかを確認します。
ハモリは別の音程を加える
ハモリはメインとは違う音程を重ねることで、コード感や厚みを加えます。
その音程が曲の中で聞こえていれば、一本のボーカルとしてメインと同じ強さまで前へ出さなくても役割は成立します。
ソロで小さくても曲の中では成立する
ハモリだけをソロで聞くと、小さすぎるように感じることがあります。
ただ、メインとオケを戻した時に必要なハーモニーが聞こえているなら、その位置で問題ありません。
まずハモリの音量を決める
ハモリが浮く時は、EQより先にフェーダーを動かします。
音色が違うように感じても、単純にハモリが大きいために別の声として前へ出ていることがあります。
ハモリへ耳が移るなら少し下げる
ハモリを入れた瞬間にそちらへ耳が引かれるなら、フェーダーを少し下げて比較します。
それだけで主旋律が中央へ戻るなら、EQやコンプを大きく変える必要はありません。
語尾だけ飛び出すなら全体を下げない
フレーズ中は馴染んでいるのに、語尾だけハモリが前へ出ることもあります。
この場合はトラック全体を下げるより、飛び出した部分だけクリップゲインやオートメーションで整えます。
固定のdB差では決めない
メインより何dB下げればいい、という固定値はありません。
声質、ハモリの音程、本数、アレンジによって聞こえ方は変わります。最終的な位置は曲の中で決めます。
ハモリのEQはメインと同じにしなくていい
同じ人が歌っていても、メインとハモリではミックス上の役割が違います。
メインで使ったEQをそのままコピーするより、二つを重ねた時に何が増えているかを確認します。
低域や低中域が重なる
ハモリを増やすと、低域や低中域も本数分重なります。
メインに十分な厚みがあり、ハモリ側の下側が全体を重くしているなら、不要な低域や低中域を整理できます。
ただし、ハモリだから高い位置までローカットするのではありません。必要な母音の厚みまで削れば、今度は薄い声だけが残ります。
中高域が強いとメインと競合する
ハモリのPresenceや子音が強いと、音量を下げてもメインと同じ場所へ出てくることがあります。
その場合は、実際に強く聞こえている中高域を少し抑えると、メインとの距離を作れます。
最初から高域を削るのではなく、どこが前へ出ているのかを聞いてから動かします。
一つの共振ではなく音色全体が前に出る場合
特定の一点ではなく、ハモリ全体が少し明るすぎる場合もあります。
その時は広めのQで緩やかに下げ、音色を大きく変えない範囲でメインとの位置を調整する方法があります。
上ハモと下ハモで同じ処理にしない
上ハモと下ハモでは、音程だけでなく発声や倍音の出方も変わるため、同じEQ設定をコピーしても同じ結果にはなりません。
上ハモは中高域や子音が目立つことがある
高いハモリでは、声質や歌い方によって中高域や子音が耳へ入りやすくなることがあります。
前へ出すぎるなら、まずフェーダーを確認し、それでも強ければ中高域や子音を見ます。
下ハモは低中域が重なることがある
低いハモリでは、母音の厚みや低中域がメインと重なることがあります。
ボーカル全体が膨らんだ時は、ローカットだけを上げず、低域と低中域を分けて確認します。
ハモリにもコンプを使える
ハモリの音量差が大きく、フェーダーだけでは位置が安定しない時はコンプを使えます。
ここでもメインと同じ設定に揃える必要はありません。
飛び出すピークを抑える
一部の強い音だけが前へ出るなら、そのピークを抑えることでハモリの位置を安定させられます。
トラック全体を下げるのではなく、音量の動きを少し整える使い方です。
背景で安定して鳴らす
メインの表情を残し、ハモリは後ろで一定に支えたい場合は、ハモリ側のダイナミクスを少し狭める方法があります。
ただし、圧縮して密度が増えれば、逆にハモリが前へ張り付いて聞こえることもあります。
AttackとReleaseだけで前後感を決めない
速いAttackなら後ろ、遅いAttackなら前という形では固定できません。
ゲインリダクション量、メイクアップ後の音量、元の発音、オケとの重なりまで含めて判断します。
タイミングは目立つ場所から整える
ハモリは別テイクなので、メインと完全に同じタイミングにはなりません。
その差が自然な厚みになる一方で、子音や語尾が大きくズレると、同じ歌詞が二回聞こえることがあります。
歌い出しの子音はズレが目立ちやすい
メインの後からハモリの子音が聞こえると、言葉の頭が二重になります。
特に強い子音で気になる場所があれば、ハモリ側をメインへ近づけます。
語尾がバラバラなら整える
メインが終わった後もハモリだけ長く残ったり、複数のハモリが別々の位置で終わったりすると、語尾が散って聞こえます。
曲の中で気になる部分だけ、終わりの位置を整えます。
全部を完全一致させる必要はない
タイミング補正をするからといって、母音の動きまですべて同じ位置へ揃える必要はありません。
歌唱差まで消すと、複数テイクを重ねた自然な広がりも減ります。耳へ引っかかる部分から直します。
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ハモリのピッチは音程関係を残して整える
ハモリはメインとは違う音程を歌っているため、ピッチ補正の目的もメインと同じ音へ揃えることではありません。
伴奏とメインの中で、ハモリとして外れて聞こえる部分を整えます。
明らかに外れて聞こえる場所を見る
一部だけコードから外れて聞こえる、メインとの音程関係が不安定に聞こえる場所があれば、その部分から補正します。
最初からすべての音を完全な位置へ固定する必要はありません。
揃えすぎると歌唱差も減る
ピッチの細かな揺れまで強く揃えると、別テイクとして残っていた差も減ります。
どこまで揃えるかは、自然なハーモニーを残したいのか、タイトに重ねたいのかで変わります。
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子音とブレスが重なるとハモリが前へ出る
メインとハモリが同じ歌詞を歌えば、母音だけでなく子音やブレスも重なります。
ハーモニー自体はちょうどよくても、そこだけ本数分大きくなって浮くことがあります。
サ行やタ行が二重に聞こえる
サ行やタ行などは、少しタイミングが違うだけでも二重に聞こえやすい部分です。
メインの子音だけで言葉が十分に聞こえているなら、ハモリ側の子音を少し下げる方法があります。
局所的ならクリップゲインやオートメーションを使う
数か所の子音だけが強い場合は、トラック全体のEQを変えるより、その部分だけ音量を下げた方が直接的です。
歯擦音そのものが強い場合はディエッサーも使えますが、タイミングのズレやすべての子音を処理できるものではありません。
ブレスは本数分残さなくてもいい
メインと複数のハモリが同じ場所で息を吸うと、ブレスだけ急に大きくなることがあります。
メインに自然なブレスが残っているなら、ハモリ側を下げても呼吸の流れは残せます。
別の位置で吸ったブレスが時間差で聞こえる場合も、不要な方だけ下げるか切ります。
ハモリはセンターにも左右にも置ける
ハモリのPanにも一つの決まりはありません。
一本ならメインの近くへ置くこともできますし、定位を分けるために左右へ動かすこともできます。
一本ならセンター付近でも成立する
メインの後ろに一つのハーモニーとして置きたいなら、中央付近へ配置できます。
定位が近くても、音量や音色を少し引けばメインとの役割は分けられます。
左右へ振ればメインと位置を分けられる
ハモリを左右へ動かすと、センターのメインとは違う位置から聞こえます。
二本の別テイクがあるなら、それぞれを左右へ置いてボーカル全体の幅を作る方法もあります。
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Panだけでは馴染まない
左右へ振っても、ハモリの音量や子音が強ければまだ前へ出ます。
Panは位置を変える処理なので、音量、帯域、タイミングの問題とは分けます。
ReverbやDelayでメインとの距離を作る
ハモリは、メインと同じ空間へ置きながら、残響量やDelay量を少し変えることもできます。
同じReverbを共有する
メインとハモリを同じReverb Returnへ送れば、残響の質感を揃えられます。
別々の空間が鳴っている感じを減らし、一つのボーカル群としてまとめる方法です。
Send量は別に決める
同じReverbを使っても、メインとハモリでSend量まで揃える必要はありません。
ハモリを少し多めに送ると、直接音に対する残響の比率が増え、メインとは違う距離感になることがあります。
ただし、Reverbを増やしすぎると母音や低中域の残響が重なり、馴染むより先に濁ります。
Reverbだけで後ろへ押し込まない
ハモリを後ろへ置くためにDryを大きく下げ、Reverbだけを増やすと、音程の芯まで分かりにくくなることがあります。
前後感はフェーダー、EQ、コンプ、Reverbを含めた全体で作ります。
Delayは反復が増えすぎないようにする
ハモリにもDelayは使えますが、すでにメインとは別の音程が鳴っています。
そこへ反復を増やしすぎると、複数の音程と複数の時間位置が重なり、歌詞がぼやけることがあります。
FeedbackやSend量を戻すほか、必要ならDuckingやAutomationで聞こえる場所を整理します。
メインとハモリを同じBusへまとめる方法
個別のボーカルトラックを整えた後で、一つのBusへまとめる方法もあります。
メインとハモリの違いを残したまま、最後にボーカル全体へ共通処理を加えられます。
共通処理は軽く使う
Bus EQやBus Compressorを使えば、複数のボーカルへ同じ変化を加えられます。
ただし、ハモリだけを直したい問題までBusで処理すると、メインも一緒に変わります。
個別の問題は各トラックで先に整え、Busでは全体へ必要な処理だけを加えます。
ハモリが濁る時はEQ以外も確認する
ハモリを加えた後にボーカル全体が濁っても、原因が周波数だけとは限りません。
本数が増えすぎている
一本増えるたびに、声の帯域だけでなく、子音やブレスも重なります。各トラックをReverbへ送っていれば、残響もその分増えていきます。
必要なハーモニーがすでに聞こえているなら、さらに本数を増やさなくても成立します。
低中域が重なっている
複数の声に同じ低中域が残っていると、厚みより膨らみや曇りとして聞こえることがあります。
各トラックをソロで細くするのではなく、重ねた状態で多い帯域を確認します。
タイミングや残響が重なっている
母音や子音が違う時間位置で鳴れば、それだけで輪郭はぼやけます。
Reverbが多ければ、その重なりはさらに長く残ります。
EQを深く削る前に、タイミングとEffect量も戻して比較します。
ハモリがメインを邪魔する時はメインを上げ続けない
ハモリを加えた後にメインが弱く感じても、メインのフェーダーを上げ続けるだけでは解決しないことがあります。
追加したハモリ側が大きい、帯域が重なっている、子音が強い、残響が多いなど、周囲に原因がある場合があります。
追加した側から戻す
ハモリを入れる前はメインが十分に聞こえていたなら、まずハモリを少し下げます。
それでメインが戻るなら、主旋律をさらに大きくする必要はありません。
音量で直らなければ原因を分ける
フェーダーを下げてもまだ邪魔なら、低中域、中高域、子音、タイミング、ReverbやDelayの順に何が重なっているかを確認します。
全部を一度に処理せず、メインを隠しているものだけを動かします。
ハモリはセクションごとに量を変えてもいい
ハモリの位置は、曲中ずっと同じである必要はありません。
Aメロでは薄く残し、サビでは少し前へ出すなど、曲の展開に合わせてフェーダーやEffect量を変えられます。
Automationで必要な場所だけ動かす
フェーダー、Reverb Send、Delay SendなどをAutomationで動かせば、一つの固定バランスですべてのセクションへ合わせる必要がなくなります。
サビでハーモニーを強く聞かせたいなら、そこでハモリを少し上げるだけでも展開を作れます。
ハモリをメインボーカルへ馴染ませる確認順
ハモリが浮く時は、一つのPluginで後ろへ押し込むより、メインとの関係を順番に確認します。
- まずメインボーカルを曲の中で成立させる
- ハモリを足し、フェーダーだけで位置を決める
- 語尾など一部だけ飛び出すなら局所的に音量を整える
- 低域や低中域が重いならEQで整理する
- 中高域や子音が強ければ、前へ出ている部分を確認する
- 音量差が大きければコンプを使う
- 歌い出しや語尾で目立つタイミング差を整える
- ハモリとして外れて聞こえるPitchを必要な範囲で補正する
- 子音やブレスの重複を整理する
- 必要ならPanでメインと位置を分ける
- ReverbやDelayで空間を加える
- 最後にオケの中でメインが中心に残っているか確認する
ハモリを馴染ませる時は、ハモリ単体を完成させるのではなく、メインと重なった時の関係を整えます。
まず音量を決め、それでも前へ出る理由を帯域、ダイナミクス、タイミング、子音、空間へ分けていくと、必要なハーモニーを残したままメインボーカルを中心に置けます。
ボーカルミックス全体の流れと基本はこちら👇
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ボーカルミックスのやり方|録音した声をオケに馴染ませる基本 | DTM DRIVER!
ボーカルミックスの基本を、音量、EQ、コンプ、ディエッサー、リバーブ、ディレイ、オートメーションまで順番に整理します。録音した声が埋もれる・浮く時に、何を確認して…