ミックスで音がゴチャゴチャして聴こえる時は、EQだけを触る前に、音数と音量バランスを確認します。
複数の音が、同じ役割、同じ帯域、同じ位置、同じタイミングで重なるほど、それぞれを聴き分けにくくなります。
そのため、周波数だけを削っても、音数や配置の重なりが残っていれば全体は整理されません。
目次
ミックスで音がゴチャゴチャする時はどこを見る?
最初に見るのは、同時に鳴っている音の数と、それぞれの音量です。
必要以上に多くのトラックが鳴り、さらに全部を前へ出していれば、それだけで音の密度は高くなります。
そこからパン、周波数、タイミング、リバーブやコンプまで順番に確認します。
一つの処理でまとめて直そうとせず、どの軸で音が競合しているのかを分けて考えます。
まず音数が多すぎないか確認する
ゴチャゴチャしたミックスでは、EQより先にアレンジを確認します。
ギター、鍵盤、パッド、コーラスなどが似た音域で鳴り続ければ、周波数を少しずつ削っても音の密度そのものは残ります。
まず、その音が本当に同時に必要なのかを確認します。
同じ役割の音が重なっていないか
似た音域でコードを鳴らすギターと鍵盤、同じように広がりを作るパッドやコーラスなど、役割が重なる音が増えるほど全体の密度は上がります。
一つ一つは必要でも、曲全体で見ると同じ役割を複数のトラックが担当している状態になります。
その場合は、どちらかを抜く、音域を変える、鳴らす場所を分けるなど、アレンジ側で役割を整理します。
常に全部鳴らす必要があるかを見る
曲の最初から最後まで、すべてのパートを鳴らし続ける必要はありません。
Aメロでは音数を減らし、サビで増やせば、曲の中に密度の差が生まれます。
ゴチャゴチャしている区間だけ一部のパートを抜けば、EQを大きく動かさなくても主役が見えます。
音量バランスが崩れると全部が前に出る
音数が多くなくても、すべてのトラックを同じような存在感まで上げると、全体がゴチャゴチャして聴こえます。
曲の中には、前に出す音と後ろで支える音があります。
ボーカル、スネア、メロディなど主役になる音と、伴奏や空気感を作る音を同じ存在感にすると、何を聴かせたいのかが見えにくくなります。
まずフェーダーを下げて、主役を邪魔している音が単純に大きすぎないかを確認します。
音量を下げるだけで役割が成立するなら、それ以上の処理は必要ありません。
ミックスの音量バランスはこちら👇
DTM DRIVER!
DTMミックスの音量バランスはどう決める?フェーダーで作る基本 | DTM DRIVER!
DTMミックスの音量バランスはどう決める?主役になる音の決め方、フェーダーでの組み立て、キックとベース、ボーカルとオケ、小音量での確認まで基本を整理します。
同じ周波数帯域が重なると音を聴き分けにくくなる
複数の音が同じ周波数帯域を強く使うと、互いをマスクして一つ一つの音が見えにくくなります。
ギターと鍵盤、ボーカルとギター、キックとベースなど、同じ帯域を使う組み合わせでは特に確認します。
どちらを前に出すのかが決まっていれば、必要な音を残し、もう一方の重なっている部分を整理できます。
低中域だけでなく中高域の重なりも見る
ゴチャゴチャする原因は、低中域だけではありません。
ギター、シンセ、ボーカル、シンバルなどが中高域で強く重なると、複数の輪郭が同時に前へ出て、うるさく聴こえます。
どの帯域を見るかは固定せず、実際にどの音が重なっているのかを確認して決めます。
周波数マスキングの整理はこちら👇
DTM DRIVER!
周波数マスキングとは?ミックスで音が埋もれる原因と対策 | DTM DRIVER!
周波数マスキングとは何かを、音量、EQ、タイミング、パン、ダイナミックEQ、サイドチェイン、アレンジまで分けて整理します。
EQは各トラックを細くするために使わない
分離させたいからといって、すべてのトラックを細く削ればいいわけではありません。
必要な帯域まで削ると、それぞれの音が痩せ、全体の厚みも失われます。
どの音を残し、どの音が譲るのかを決めてから、実際に競合している部分を整理します。
パンが中央に集中すると位置でも重なる
多くのトラックをセンター付近へ集めると、周波数だけでなく定位も同じ場所に集中します。
ギター、鍵盤、コーラスなどを左右へ分ければ位置の違いが生まれ、センターに重ねた状態より聴き分けやすくなります。
ただし、パンを振っても周波数の重なりそのものは残ります。
左右へ分けても濁るなら、音量やEQ、アレンジまで戻って確認します。
パンの振り方と左右配置はこちら👇
DTM DRIVER!
DTMミックスのパンの振り方|左右配置とセンターの基本 | DTM DRIVER!
DTMミックスのパンはどう振る?キック、ベース、ボーカルをセンターに置く理由、ギターや鍵盤の左右配置、モノラル確認までパンの基本を整理します。
同じタイミングで似た音が鳴ると密度が上がる
音域やパンが違っていても、似たアタックを持つ音が同じタイミングで多く鳴ると、その瞬間の密度は高くなります。
例えば、ギター、ピアノ、スネア、パーカッションなどが同じ拍で強く立ち上がれば、多くの音が同時に前へ出ます。
必要ならフレーズを減らす、休符を作る、アレンジや演奏段階で発音タイミングを分けるなど、時間方向にも隙間を作ります。
音の重なりは、ミックスだけでなくアレンジと演奏の段階でも決まります。
リバーブやディレイが多いと音の境界がぼやける
リバーブやディレイを加えると、直接音が終わったあとにも残響や反復音が残ります。
多くのトラックで長い残響や反復音が続けば、前の音と次の音が時間方向でも重なります。
ゴチャゴチャしている時は、空間系を一度減らし、直接音だけでどこまで整理できているかを確認します。
残響や反復が原因なら、リバーブ量や長さ、プリディレイ、ディレイのフィードバックを調整します。
コンプで多くの音を前に出すと奥行きがなくなる
コンプレッサーでダイナミクスを狭めると、小さかった部分も安定して聴こえるようになります。
多くのトラックでダイナミクスを大きく狭め、メイクアップゲインでレベルを戻すと、もともと小さかった部分まで聴こえ続けやすくなり、前後の差が小さくなります。
その状態では複数の音が同じように前へ出て、曲の奥行きも見えにくくなります。
コンプは全部のトラックを前へ出すためではなく、ダイナミクスを整える必要がある場所に使います。
ミックスの奥行きと前後感はこちら👇
DTM DRIVER!
ミックスで音に奥行きが出ない原因|前後感を作る基本 | DTM DRIVER!
ミックスで音に奥行きが出ない原因を、音量、リバーブ、プリディレイ、高域、トランジェント、音数まで分けて整理します。平面的に聴こえる時の確認順も解説します。
ソロでは良い音でも全体では邪魔になる
ミックスでは、各トラック単体の音を完成させることが目的ではありません。
ソロでは太く、広く、迫力のあるギターでも、ボーカルや鍵盤と同じ帯域や位置を強く使えば、全体ではそれらの音をマスクします。
逆に、ソロでは少し細く感じる音でも、曲全体に戻した時に必要な場所へ収まっていれば成立します。
処理を決める時は全体へ戻し、その音が他のトラックとどう共存しているかを確認します。
音がこもる原因はこちら👇
DTM DRIVER!
ミックスで音がこもる原因|低中域・EQ・録り音の見直し方 | DTM DRIVER!
ミックスで音がこもる原因を、低中域の重なり、不要な低域、リバーブ、コンプ、アレンジ、録り音まで順番に整理します。高域を足す前にどこを見るかが分かります。
ゴチャゴチャしたミックスを整理する確認順
原因が分からない時は、EQから触るのではなく、次の順番で確認します。
音数とアレンジ
最初に、同じ役割の音が増えすぎていないか、同時に鳴らす必要があるのかを確認します。
音量
次に、後ろで支える音まで大きくなっていないかをフェーダーで確認します。
パン
似た音が同じ位置へ集中しているなら、必要に応じて左右へ配置を分けます。
周波数
同じ帯域を強く使っている音が残ったら、EQや音色を調整します。
空間系とダイナミクス
最後に、残響や反復音が重なりすぎていないか、コンプで多くの音を前へ出しすぎていないかを確認します。
ミックスのゴチャゴチャは競合している場所を減らして直す
ミックスがゴチャゴチャする時は、すべてをEQで削る必要はありません。
音数が多いなら減らす。音量が大きいなら下げる。位置が重なるならパンを分ける。帯域が重なるならEQや音色を調整する。
同じタイミングに音が集中しているならアレンジを見直し、残響やコンプで密度が増えているならその処理を調整します。
どの音も単体で目立たせるのではなく、曲の中で役割、帯域、位置、時間の重なりを減らすことが、ゴチャゴチャしたミックスを整理する基本です。
ミックス全体の流れと基本はこちら👇
DTM DRIVER!
DTMミックスのやり方|初心者向けに基本の流れと順番を整理 | DTM DRIVER!
DTMのミックスは何から始める?音量バランス、パン、EQ、コンプレッサー、リバーブ、オートメーションまで、初心者が迷いやすい基本の流れと順番を整理します。