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ミックスで音に奥行きが出ない原因|前後感を作る基本

ミックスで音に奥行きが出ない時は、まず全部の音が同じ距離に並んでいないかを確認します。

奥行きは、リバーブを増やすだけでは作れません。音量、直接音と残響の比率、プリディレイ、高域、トランジェントなどに差が付くことで、前にいる音と後ろにいる音が分かれます。

すべてのトラックが同じような音量、残響、明るさで鳴っていると、左右には広がっていても前後方向は平らに聴こえます。

目次

ミックスで音に奥行きが出ない時はどこを見る?

最初に見るのは、前に置く音と後ろへ置く音の差です。

メインボーカル、スネア、メロディなどを前に出したいなら、それ以外の音まで同じ存在感にしないようにします。

そのうえで、音量、リバーブ、プリディレイ、高域、トランジェントを使って距離の差を作ります。

まず全部の音が同じ距離にいないか確認する

奥行きがないミックスでは、すべてのトラックが同じように前へ出ている状態をまず確認します。

前後感は、一つの音を大きく加工するより、複数の音の間に距離差を作った方が見えやすくなります。

全部を同じ音量で前へ出さない

すべてのトラックを同じような存在感まで上げると、前に出る音が増え、前後の差が小さくなります。

前に置きたい音はしっかり聴かせ、後ろで支える音は必要な位置まで下げます。

まずフェーダーで距離差を作ると、そのあとに加えるリバーブやEQの役割も判断しやすくなります。

ミックスの音量バランスはこちら👇

全部に同じリバーブをかけない

すべてのトラックへ同じリバーブを同じ量でかけると、直接音と残響の関係も似た状態になります。

その状態では音同士の距離差が小さくなり、同じ空間の近い位置に集まって聴こえます。

同じリバーブを共有する場合でも、センド量を変えたり、必要ならトラックごとにリバーブへ入る前のディレイ時間を変えたりして前後差を作れます。

音量差だけでも前後感は変わる

音量は、前後感を作る基本の一つです。

他の条件が近ければ、相対的に大きい音は手前に感じやすく、小さい音は後ろに感じやすくなります。

そのため、奥行きを作る時に最初からリバーブを増やす必要はありません。

前に出したい音と後ろで支える音の音量差を作るだけでも、前後関係は変わります。

音が前に出ない原因はこちら👇

リバーブは量だけでなく直接音との比率を見る

リバーブでは、残響の量だけでなく、直接音に対してどれくらい残響が聴こえているかを見ます。

直接音の割合が大きいほど輪郭は手前に残り、残響の割合が増えるほど距離を感じやすくなります。

リバーブが多すぎると全部が後ろへ下がる

多くのトラックで残響成分を大きくすると、直接音より残響の存在感が増えます。

前に残る音まで少なくなると、奥行きが増えるのではなく、全体がまとめて後ろへ下がって聴こえます。

前に出したい音まで遠く感じるなら、そのトラックのリバーブ量を下げます。

リバーブが少なすぎると前後差を作りにくい

すべての音がほぼドライで、同じように前へ出ていると、残響による距離差は作れません。

後ろへ置きたい音に必要な残響を加えると、直接音との距離差を作れます。

重要なのはリバーブの量そのものではなく、どの音をどの距離に置くかです。

プリディレイで直接音と残響を分ける

プリディレイは、直接音が鳴ってからリバーブが立ち上がるまでの時間です。

プリディレイを長くすると、直接音と残響の時間差が広がり、直接音の輪郭を残したまま空間を加えやすくなります。

ボーカルでリバーブ成分が直接音へすぐ重なると、声の輪郭まで後ろへ下がって聴こえます。

直接音を前に残したいなら、リバーブ量だけでなくプリディレイも調整します。

高域の差でも前後感は変わる

距離が離れるほど空気や反射の影響で高域は減衰するため、高域がはっきりした音は近く、暗い音は遠く感じやすくなります。

この違いも、前に置く音と後ろへ置く音の差を作るために使えます。

後ろへ置く音は高域を少し抑える方法もある

後ろへ置きたいパッドやコーラスの高域を少し抑えると、前に置く明るい音との差を作れます。

ただし、高域を削るだけでは単に暗い音になるだけです。

音量や残響との関係も合わせて変えることで、前後の差として聴こえやすくなります。

EQだけで奥行きを作ろうとしない

EQは前後感を作る一つの要素ですが、それだけで距離が決まるわけではありません。

音量、直接音と残響の比率、プリディレイと組み合わせて前後を作ります。

トランジェントの差でも前後感は変わる

音の立ち上がりがはっきりしていると輪郭を認識しやすくなり、前に出て聴こえやすくなります。

スネアやキック、ピックで弾いたギターなどでは、トランジェントが残っているほど他の音との境界も見えやすくなります。

コンプのアタックで前後感が変わる

コンプレッサーのアタックを速くし、立ち上がりまで大きくゲインリダクションすると、トランジェントが抑えられて輪郭が弱くなります。

アタックを遅くして初期の立ち上がりを残せば、トランジェントの輪郭を保ちやすくなります。

ただし、奥へ置くためだけにアタックを速くするのではなく、その音に必要なダイナミクスを残しながら調整します。

音が硬くなる原因はこちら👇

音数が多いと前後の差が見えにくくなる

音量や残響で前後を分けても、多くの音が同時に鳴っていれば、その差を聴き取りにくくなります。

前にいる音、後ろにいる音、その間にいる音が増えすぎると、空間全体の密度も上がります。

奥行きが見えない時は、リバーブを増やす前に、同時に鳴っている音を減らせないかも確認します。

アレンジに隙間ができれば、前後の違いも見えやすくなります。

音がゴチャゴチャする原因はこちら👇

パンだけでは前後感は作れない

パンは左右の定位を作る処理です。

左右へ大きく広げても、それぞれの音量、残響、高域、トランジェントに前後差がなければ、奥行きは作れません。

横方向の配置と前後方向の配置は分けて考えます。

パンの振り方と左右配置はこちら👇

奥行きが出ない時の確認順

どこから直せばいいか分からない時は、次の順番で前後の差を確認します。

音量

まず、前に出す音と後ろで支える音が同じような存在感になっていないかを確認します。

リバーブ量と長さ

次に、どのトラックも同じような残響量と長さになっていないかを見ます。

プリディレイ

直接音を前に残したいのに、残響がすぐ重なって輪郭を隠していないかを確認します。

高域とトランジェント

前後へ分けたい音の明るさや立ち上がりが、同じような状態になっていないかを確認します。

音数とアレンジ

ここまで差を作っても奥行きが見えないなら、音数が多すぎて前後の違いを隠していないかを確認します。

ミックスの奥行きは前後の差を作って出す

奥行きを出すために、すべての音へリバーブを増やす必要はありません。

前に置く音は直接音を残し、必要な音量と輪郭を持たせる。後ろへ置く音は、音量や残響、高域、トランジェントを調整して距離を作る。

一つの処理だけで奥行きを作るのではなく、複数の要素に前後差を付けることで、平面的だったミックスに立体感が生まれます。

ミックス全体の流れと基本はこちら👇

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